ラグビー発祥の地で競技誕生の背景を知る

選手入場の際は、大声援が巻き起こる。

 いよいよ試合観戦。対フランス戦、入場から国家斉唱で満場のスタジアムはすでに盛り上がり、ゲームが始まると、声援とどよめきが全体に響く。結果は、フランスが先行するもイングランドが追いつき、19対14で逃げ切った。フランスとイギリス、古くは百年戦争以来の相手だが、ラグビーの観戦は、罵りはなく、「うちのチームは負けないぜ」という応援でみんなが盛り上がる感じ。身体をはった激しいスポーツなのに、ラグビーが紳士のスポーツと言われる訳がなんとなく分かる。

ボールを何がなんでも守るという気迫。

 さて、RWCの優勝トロフィーは「ウェブ・エリス・カップ」という。ラグビーの正式名はラグビーフットボール。源流はフットボール(サッカー)と同じで、中世に村対抗で何百人がボールを蹴り合って(手で持つのもあり)、教会のドアをポストに一点先取を奪い合うという競技だった。

名門パブリックスクール、ラグビー校の門扉。
ラグビー校は、ラグビーの母と呼ばれる。

 時を経て1823年にラグビーという町のパブリックスクールであるラグビー校で、このウィリアム・ウェブ・エリスという少年が、ボールを手に取ってゴール目指して疾走(ランニングイン)したことから今日のラグビーが誕生したという伝説が残っている。

 このラグビー校の学生達が、初めてフットボールの試合規則書をまとめていて、ラグビーの町はラグビー生誕の地と言われている。ラグビー校はルイス・キャロルなども輩出した名門校で、男女共学の全寮制高校として今も学生達が学んでいる。

「エンジョイ・ラグビー・フェスティバル」に沸くラグビーの町。

 ラグビーはロンドンのユーストン駅から列車で約1時間15分。町にはウェブ・エリス・ラグビー・フットボール博物館やラグビー・タップ・ルームという地ビール店などもあり、2015年11月6日まで「エンジョイ・ラグビー・フェスティバル」を開催し、ラグビー一色だ。

左:週末にはちびっ子ラガーがイベントで張り切っていた。
右:これがRWCの優勝トロフィー「ウェブ・エリス・カップ」だ。

Enjoy Rugby Festival(エンジョイ・ラグビー・フェスティバル)
URL http://www.enjoyrugby.co.uk/

2015.09.29(火)
文・撮影=小野アムスデン道子