ラテン都市ラ・セイバ、そしてトロピカルな小島へ

ラ・セイバの中心地にあるサン・イシドロ教会は、街のシンボル。

 ラ・セイバはホンジュラス北部の港湾都市。19世紀末にこの国でバナナの生産が盛んになると、ラ・セイバも輸出港として繁栄した。近年は観光地となり、周辺の島々に渡る拠点として、多くのダイバーやツーリストが訪れている。

 ラ・セイバから足を延ばして行けるバイア諸島は、カリブの人気リゾートとして知られるところで、なかでもロアタン島が有名だ。私が向かったのは、諸島の一部、カヨス・コチーノスという小島の列島。カヨス・メノールと、カヨス・マヨールというメインの2島からなる。ラ・セイバからフェリーで行くこともできるが、島に一番近いサンボ・クリークという村でボートを借り、のんびりと島へ向かうことにした。

村の人たちに手伝ってもらい、ボートで島へ出発。

 サンボ・クリーク村は、ガリフナ族の村でもある。数十年前までは、ガリフナ族以外の人が住むことも禁止されていたのだとか。ガリフナ族というのは、西アフリカ系、中央アフリカ系、カリブ海小アンティル諸島先住民、南米アラワク族を祖先に持つ人たちのこと。

海辺に暮らすガリフナ族の家族。おしめでヨチヨチ歩く小さな女の子も挨拶に来てくれた。

 ガリフナ族の歴史は、サトウキビ園の労働力として、ヨーロッパの植民地だったカリブ海諸国に、アフリカから奴隷が連れてこられた17世紀にさかのぼる。

 ある日、奴隷を乗せた2隻のスペイン船がカリブ海で難破。アフリカ人たちが近隣の島に逃げ込み、そこで生活を始めたのが始まりだという。彼らはカリブ先住民の文化を取り入れ、やがて先住民との混血の子孫が誕生した。それが、今のガリフナ族だ。

ハンモックで遊ぶガリフナ族の子どもたちは、とても無邪気。

 ガリフナ族の人たちにもボートの出航を手伝ってもらい、カヨス・コチーノスへ。ボートから海の中を見ると、海底がはっきりと見えるほど、水がきれい! 太陽はキラキラ、岩礁では野鳥がひと休みしていて、ここはリゾートというより、パラダイスのよう。島にはこれといった観光スポットがあるわけではないけれど、美しい自然があればそれだけで十分。お金では買えない環境と時間を、私たちは心ゆくまで堪能した。

透き通った海、晴れ渡った空! お金では買えない宝物がここにはある。
左:島の船着き場もいたって素朴。
右:島で飲むビールはもちろん、ホンジュラスのビール、サルバヴィーダ。

2015.07.14(火)
文・撮影=芹澤和美