16世紀ベルギー製の織物もあれば昭和の巨匠の作品も

写真左は山鉾連合理事会長の吉田孝次郎氏。悲願の後祭復活を成し遂げられました。

 今年は四条通の歩道が拡幅され、車道が一車線になったので、人ごみが多少緩和され、かつ鉾との距離が縮まって見やすくなるのではと思います。

「音頭取」は山鉾の組み立てを行いますが、巡行の際は扇やかけ声で曳く人に指示をしたり盛り上げたりします。菊水鉾は焼失していたものの昭和27年に再興され、当時の美術工芸の巨匠たちが作品を提供したことから、「昭和の鉾」とも呼ばれています。
左:函谷鉾の前懸は16世紀にベルギーで製作されたもので、重要文化財。
右:鶏鉾の見送りは、16世紀頃にベルギーで製作された飾毛綴織(かざりけつづれおり)で、叙事詩イーリアスの「トロイの王子と妻子の別れ」が描かれています。国の重要文化財に指定されていますが、これは複製品です。いずれも、京都がヨーロッパの文化に親しむ先進的な国際都市であったことを示しています。
太子山の前懸は、中国の阿房宮を描いた刺繍。
左:放下鉾の見送りは、皆川泰蔵作「バグダッド」です。
右:蟷螂山の屋根に飾られたカマキリは、時々羽を広げたりして動きます。
左:鶏鉾は松村呉春下絵の「唐宮廷楼閣人物図」や景文下絵の「春秋蝶図」、円山応挙下絵の「生花図」や草花模様のインド絨毯、この写真にはありませんが16世紀ベルギー製のタペストリー(重要文化財)と豪華です。
右:霰天神山の前懸はギリシャの叙事詩「イーリアス」を描いた16世紀のベルギー製タペストリー。

2015.07.13(月)
文・撮影=小林禎弘