格子窓から拝見する屏風の逸品

 屏風といえば、今話題の伊藤若冲や、円山応挙といった画人を支えたのも、こうした京都の町衆でしたし、江戸の始めまでは狩野派の本拠地でもありました。

こぢんまりしていますが、風情があります。新町通三条下る「大日家」。
格子窓の奥は驚くほど広い。京都らしい奥行きのある造り。左側は土佐光武の明治時代の作、右側は作者不詳の江戸時代の龍絵図。敷物は、江戸時代の赤穂緞通。
新町通六角下る「藤井絞(株)」。左側「州浜」江戸後期の土佐派の物、右側「四季の図」は江戸後期の円山応挙を画祖とする四条派の物、奥には三宅鳳白の作品も少し見えます。山鉾の模型は北観音山。現ご主人のご祖母様の実家が大工で、昭和20年頃に作られた精巧な物。組紐など、実物と同じ物が使われています。

 祇園祭は近年まで、その末裔たる呉服商が支えていました。豪勢な京町屋の一角を開放して宵山の日に行われるのが、「静の美術館」とも言われている「屏風祭」です。秘蔵の絵画や工芸品を飾ります。屏風が多いので、「屏風祭」と呼ばれてきました。しかし着物産業の衰退とともに、「屏風祭」をする家はかなり減りました。

 前祭(さきのまつり)と後祭(あとのまつり)の両方にあわせて開催されますが、個人邸や商店などで行っており、公開日はそれぞれ違います。事前申込みが必要な場合もあります。後祭の方が多く見られると思います。

京都祇園祭
URL http://www.gionmatsuri.jp/

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。