【ステップ1】まずはご飯を詰めます

【ポイント】
 ご飯は隅まできっちり、表面はデコボコしないように詰めます。

 ですが、しゃもじの面は結構大きいので、隅などの小さな場所は確かに難しいです。

 これは、私がいつも使っているしゃもじです。炊飯器に付属していた、ごく普通のしゃもじです(※秘密のしゃもじは持ってません)。

 このしゃもじをさっと水にくぐらせ、いつもの量のご飯を、弁当箱の詰めたい場所に、まずはざっくり詰めるというか、入れます。そして、キレイに整えます。

 これは、しゃもじの柄の先端です。ここを使って、表面、隅っこ、または崩れてしまったご飯の崖の部分を整えます。

 その際、決して押さえつけないこと。表面を平らにならす、というとペタペタと押さえつけるのではなく、ピンと立って炊き上がったご飯粒をつぶさないように、フワッと空気を入れながら整える感じです。その方が冷めやすく早くフタが出来るので、時間のない朝の弁当作りでは一石二鳥なのです。

【ステップ2】切干のコリコリ炒めを詰めます

【ポイント】
 前回も言いましたが、バラバラになりやすいものを詰める場合はアルミカップを使うと詰めやすいので、これもアルミカップを使います。

 今回のおかずは、あまり彩りが多彩ではありません。中でも緑は少なく、そういう意味でいんげんは貴重。

 なので、いんげんはちょっと目立つようにまとめて置きました。こうすると一見、いんげんの別のおかずが入っているように見えます。この手法はいろいろ使えますので、覚えておくといいですよ。

【ステップ3】かぼちゃのカレー蒸しを詰めます

【ポイント】
 野菜は、それぞれの特性を活かした詰め方をすると自然で美しく、手間がかかりません。かぼちゃの場合はスライスした時のその扇形の形状を活かし、右から左に少しずつ重なるように詰めていき、皮の緑(貴重!)もしっかり見えるようにします。

 もしこれが、左から右に詰めていくとすると、皮の緑はほぼほぼ見えなくなってしまいます。細かい点ですが、押さえておくといいポイントだと思います。

【ステップ4】鶏の塩から揚げを詰めます

【ポイント】
 Iさんの弁当で一番バランスを崩してしまっているのはから揚げの大きさです。

 大きいことは悪いことではないと思いますが、その弁当箱にあった大きさがあります。どちらかと言えば可愛らしい真ん丸の弁当箱の中で、あのから揚げの大きさはちょっと大きすぎますね。

 皿に盛る場合は大きくダイナミックにドカンと盛ればよろしい。しかし、弁当のから揚げは、約250gの鶏もも肉1枚を7~8つくらいに切るのが、詰めやすいし食べやすいです。から揚げの下には、油対策のため、ワックスペーパーの素材で作られているカップを敷いています。

【ステップ5】ゆで卵を詰めます

【ポイント】
 ゆで卵、これが最後のおかずです。

 でもまだ、写真で見るとゆで卵の下側にあたる部分にスペースがありますね。失敗? いえいえ違います。このスペースは、わざと残した想定内。

 そうです、まだ続きがあるのです。

【ステップ6】空いたスペースに再び鶏の塩から揚げを詰めます

【ポイント】
 先ほどの“皿盛りは大きくダイナミックにドカンと”のくだりの補足ですが、夕飯のデカいから揚げを翌日の弁当にスライドさせる場合どうするか。

 切ればいいんです。

 2度目のから揚げは、そのままではスペースの形に合わなかったのと、若干目立ちすぎていると思われるゆで卵を一部隠すため、から揚げを2つに切って詰めました。

 今回の弁当の主役はあくまで鶏の塩から揚げ。から揚げより目立つおかずはから揚げ自身が制す、ということです。

【After】梅干をのせ、ゆで卵に黒ごまをトッピングして完成

 Iさんの弁当では梅干の小ささも気になった点のひとつでした。ご飯の面積に比べて梅干が小さすぎると、ご飯の広大な余白で全体が寒々しくなり、逆に大きいとなんだか圧迫感があります。どちらにしてもバランスが悪い。

 今うちにある梅干も結構小さなものでしたので2つ並べてのせてみました。結果、ちょうどいい感じになりました。

 バランスが良ければ、てんでバラバラにならず弁当はまとまります。それには、それぞれの配置はもちろん、大きさや配色の相関関係も大切ということです。

 Iさんの弁当の主役はまるで切干コリコリでした。

 その弁当の何が主役かをしっかり見極めてください。そして、主役は主役たる位置に置いてやりましょう。どの位置が一番主役を際立たせることが出来るのか。真ん中なのか、手前なのか。左なのか右なのか。そのことを意識しておかずを詰め進めていけば、詰め方の順番は自然と決まってきますよね。

 しかし。

 目立つ=デカい、では決してありませんので、間違えないようにしてくださいね。

 ではまた次回。

【今日のまとめ】

・ごはんを上手に詰めるのに必要なのは秘密のしゃもじではなくちょっとしたコツ
・主役は主役たる位置がある!
・主役を目立たせるためにバランスのいいおかずの配置を

おかずのレシピは『弁当パフォーマーまさきちの弁当ごよみ十二カ月』に掲載中!
鶏の塩から揚げ(47ページ)/切干のコリコリ炒め(29ページ)

『弁当パフォーマーまさきちの弁当ごよみ十二カ月』

大人気ブロガーによる、笑いと涙の“幕の内的”弁当日記&レシピ。バツ2、独身、毒舌の弁当ブロガーまさきちによる季節の弁当。給料日前でも、二日酔いの朝でも無理なく作れるお助けレシピ。

著・よりのまさみ
本体1,200円+税

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よりのまさみ
人気弁当ブログ「おひとりさまの食卓」(http://masakichi3.exblog.jp/)の主催者。広島県生まれ、広島の広告代理店勤務を経て、現在、福岡県の地元企業に勤める。バツ2独身ひとり暮らし。二日酔いの日でも、残業続きの日でも、懐の寒いときでも、無理せず作り続けることができる弁当レシピが大人気。著者に『弁当の本』(アールズ出版)、『弁当パフォーマーまさきちの 弁当は人生だ! 毎日作れる楽ウマレシピと手抜きのコツ』(文藝春秋)などがある。

Column

弁当パフォーマーまさきちの「弁当詰め方」道場

人気弁当ブログ「おひとりさまの食卓」を主宰する、まさきちことよりのまさみさんがお弁当の「詰め方」を指南。お弁当の詰め方にこだわるだけで、ふたを開けた時のインパクトが数倍にも。目からウロコの詰め方テクニックが満載です。

2015.01.18(日)
文・撮影=よりのまさみ