世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第69回は、小野アムスデン道子さんが、感激とぬくもりに満ちたスリランカの旅をレポートします。
敬虔な仏教徒が多いスリランカと日本との関わり
インド亜大陸の南、涙形のイヤリングのような形の島国スリランカ。どんな国ときかれて思い浮かぶのは、香り高いセイロンティー(英国領の時の名がセイロン)やカレー、アーユルヴェーダ、緑と海? 実際に行ってみると、ほかにはない数多くの“驚き”に出会える。
CREA Traveller 2015年冬号で「神々に愛されたアジアの美しき島」の一つとして登場するスリランカ。確かに「神々に愛された」とうなずけるさまざまな美しさや魅力を、思い出のなかからピックアップしてみたい。
スリランカに行くととても親日的な雰囲気を感じる。
第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和会議で日本の占領分割案が出るなか、「憎しみは憎しみによっては止まない、愛によって止むのである」という仏の教えを引き合いに日本を擁護したのは、セイロン代表として会議に参加したJ・R・ジャヤワルダナだった。逆に日本からは、その後、数々の政府開発援助を提供している。そんな日本との意外な関わりに驚かされる。
スリランカの大都市コロンボからすぐの漁村ニゴンボ。朝の4時から日曜以外は毎日魚市場が開かれる。朝、漁に出て戻ってきてそのまま魚市場に運び込む。そしてカレーに入れるマグロは、夥しい数をそのままどんどん浜に敷いたむしろの上に載せて干す。なんとも大胆で豪快な漁村の様子。朝からとても活気にあふれていて、見ているだけで楽しい。
スリランカの仏教は、上座仏教といって殺生などが五戒で禁じられている。なので、漁村ではその教えを守ることが出来ないのでキリスト教徒の人が多いとか。言ってみればそれだけ仏教徒の人は、その教えを心から守っているということだ。その中に「嘘をつかない」というのがあって、この言葉の重みに後で驚かされることになる。
2015.01.20(火)
文・撮影=小野アムスデン道子