オールジャンルな楽曲が奏でる、なんでもありのマサラ・ミュージカル

――さて、インド映画界を舞台にした最新主演ミュージカル「ボンベイ ドリームス」ですが、浦井さんは主人公・アカーシュをどのように演じようと思われていますか。

 スラム街で生活しながら、映画スターを夢見る青年・アカーシュはある意味、成長をしていく様がしっかり描かれているキャラクターなので、とてもやりがいがありますね。彼が映画界に入ったことで葛藤しながらも成長していく過程をちゃんと演じられればいいな、と思っています。

――本作で歌って踊る楽曲は、『ムトゥ 踊るマハラジャ』や『スラムドッグ$ミリオネア』でも知られるA.R.ラフマーンによるものですが、ほかのミュージカル楽曲との違いは?

 初めて聴いたときに、クラブでも通用するようなビート感のある楽曲からラブバラードのようなメロディアスな楽曲まであり、なんてオールジャンルなんだ、と衝撃を受けました。それで、ちゃんとインド色がありながら、老若男女どんな人が聴いても楽しめる。インドのモーツァルトと呼ばれていることや、彼の楽曲にアンドリュー・ロイド=ウェバーさんが惚れ込んで、このミュージカルをプロデュースしたというのも納得でした。

――インド音楽といえば、「ハァ~」というガマック(声を揺らす独特な歌唱法)がありますよね。また、どうインド人の雰囲気を出そうと考えられていますか?

 ガマックは日本の歌唱法でやると、演歌のこぶしのように聞こえてしまうので、ちゃんと学んでやっていかないと難しいんです。だから、そこは心してやろうと思いますし、今はとにかく、いろんな楽曲を聴いて耳に馴染ませることに重きを置いています。以前『ウルルン滞在記』という番組で、インドに行かせていただいたことがあったんです。そこで出会った家族との交流や見た景色など、肌で感じたものを、この役に投影出来たらと思っています。とはいえ、(共演の)すみれさんからは「全然インド人ぽくないですね」と言われていますので、どうなることやら(笑)。歌あり、踊りあり、笑いありと、明るく楽しいミュージカルですから、とにかくお客様にノリノリで楽しんでもらえたら嬉しいですね。

2015.01.23(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央