ミュージカル界の重鎮、アンドリュー・ロイド=ウェバーとインドの人気作曲家A.R.ラフマーンがコラボしたマサラ・ミュージカル「ボンベイ ドリームス」の公演が間近に迫った浦井健治が、15年の俳優活動を振り返る第2回。2015年も舞台を中心に活躍する、実力派から目が離せない!
新感線、三谷幸喜、蜷川幸雄、NODA・MAP作品などに出演
――「アルジャーノンに花束を」と「マイ・フェア・レディ」では菊田一夫演劇賞を、「ヘンリー六世」と「ダンス オブ ヴァンパイア」では読売演劇大賞(杉村春子賞)など、数々の賞を受賞されていますが、そのように自身の演技が評価されることでの心境の変化は?
僕なんかがもらっていいのだろうか、と思ってしまうほど、とても有難いですし、感謝しております。ただ、決して自分一人で獲ったものではなく、カンパニーもしくは、その作品に関わったすべての人への賞であって、それがカタチとなったものと思っています。もちろん、いただいたことで、気持ちはさらに引き締まりますが、いい意味で意識することなく、縛られず、自分の変化や鮮度を求めていけるよう、次へ次へといく気持ちはそれまでと何も変わらないです。
――また、劇団☆新感線(「薔薇とサムライ」「ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII」)をはじめ、三谷幸喜(「ベッジ・パードン」)、蜷川幸雄(「シンベリン」)、NODA・MAP (「MIWA」)といった人気作家や演出家の作品への参加も増えていますよね。
やっぱり、みなさんそれぞれに演出の仕方や作品の捉え方も違いますし、独自の世界観をお持ちの方々で、そういうところが世間的にも高く評価されているのだと思うんです。そういう方々が「浦井、こういうふうにやってみて」と、僕を役者としてこねくり回してくださることで、自分の中で化学反応が起こったり、新しい自分の可能性に気づく。その一方で、自分の足りないものも見えてきますが、そういう刺激はとても強いですね。そして、「浦井呼びたいね」と言っていただけるような出会いは、本当に財産だなと感じています。まさに、そこに飛び込んでいくという感覚ですが、飛び込んでいけるうちは、どんどん飛び込んでいきたいと思います。
――これまでに演技面で、壁にぶつかった役や作品があれば教えてください。
毎回です(笑)。たとえば「ヘンリー六世」では三部作、9時間強の長編でタイトルロールをやらせていただくなか、演劇界の錚々たる先輩方が芝居でバトルをしているわけですから。それに翻弄され、もがきながら、みんなで作り上げていった結果、お客様に喜んでいただけたときは何よりもうれしかったですね。また「蜘蛛女のキス」ではヴァレンティンという革命家を演じるため、初めてヒゲを生やして、どこまで役と対峙していくかに悩まされました。それによって、人間的に学ぶことも多かったですし。また、劇団☆新感線で2度も演じたシャルルという役では、どこまで自分が突き抜けることができるか、というチャレンジをし、古田新太さんに「心と体がバラバラ」と笑っていただいたのもうれしかったですね。
2015.01.23(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央