ワインのバイブルを編んできた一族が営むシャトー

美しいシャトーの入口。

 アンリ・フェレさんとマダムのヴァレリー・フェレさんが中心となって営むこちらの「シャトー フェレ ランベール」は、メルローという品種を中心とした葡萄栽培で、赤ワインだけを作っています。とても明るいお二人の姿からは想像できませんが、実は、2013年に雹の被害にあい、葡萄畑が全滅したという災難が。このシャトーの2013年のワインは一本もありません。最近ボルドーでは、雹の被害がたびたびあり、この年は特にそれが大きかったようです。

仲良しのご夫婦、アンリ・フェレさんとヴァレリー・フェレさん。2013年の雹は20センチも積もったという。その影響はいまだに葡萄の木に残っていて、2014年の収穫量も例年の何割かは少なくなると予想されている。

 フェレ家は、1800年代からボルドーワインのバイブルを作っていたという家系。現在、本は違う方が作っていますが、タイトルにはしっかり「フェレ」の名が残っています。

 ここのワイン畑は、フェレ氏の曾祖父が土地を買ったことから始まっています。1996年に祖母が亡くなり、フェレ氏がここを継ぐことに。1998年に初めて葡萄を植え、2001年がファーストビンテージ(初めてのワイン)だそうです。

左:フェレ家が作っていたボルドーワインのバイブル。
右:メルローの木の赤ちゃん。

 アンリ氏が、敷地を散歩しながら、むかし石切り場だったという洞窟のような場所に案内してくれました。現在ここは、樽に入ったワインの熟成場所になっています。空調設備がなくとも14~17度に保たれ、適度な湿気もあり、まさにワインに最適というわけです。この石切り場の10メートル上はワイン畑というのも面白い。

昔の石切り場に眠るワインたち。ミネラルが豊富な石灰質の土壌も見て取れる。

 初めてワインを世に出した2001年から今に至るまで、日本には輸出を続けています。ブルーと白の印象的なエチケット(ラベル)のボトルは、ワインショップの「やまや」で購入可能。白はセカンドライン的な位置づけで、本領発揮はブルー。メルロー種を主体に、カベルネソービニヨン種のよかった年にはそれがブレンドされています。カベルネソービニヨンが10%入っている2009年、2010年は特にお勧め。ボリューム感だけでなく、酸もしっかりと残っています。

ブルーのエチケットのほうは約2,000円、白のエチケットは約1,500円で日本で購入できる。「いいワインを作るためにいい葡萄を作る」というシンプルな理念でやっている。

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2014.09.27(土)
文・撮影=浅妻千映子