●#包装までが製菓です
千早 福田さんはDEAN&DELUCAとコラボされたり、いろんなところと組んで商品開発をされていますよね。でもご自身の好みもあるじゃないですか。そこは作るときに合わせるんですか?
福田 レシピ開発をするときは、クライアントに「どうして作ろうと考えたのか?」と目的など、背景を聞きますね。その上で全然違う提案をする場合もあります。果物専門店の販売促進部が最初の就職先で、そこからフリーになって編集者、という職歴で。編集への道は武蔵(武蔵野美術大学)の同級生で、作家の小林深雪ちゃんから彼女の小説に出てくるお菓子のレシピブックの編集とスタイリングを頼まれたのがきっかけ。80ページの台割りを3時間くらいで書けて、大手出版社にそのまま企画が通った。それでお菓子を企画することって向いているかもと思ったのが出発点かな。
千早 例えばもし福田さんがみかんが嫌いだったとしても、別にそれは関係ないものとして作れますか?
福田 すごく嫌いだったら作れないかもしれないけれど、その時は誰か紹介してあげるとか、または私が好きなように好きな味に作るっていうのもありますね。インスタにハッシュタグで「#包装までが製菓です」と付けているんですが、パッケージにこだわりがあるのが特徴かも。その規模に合った製造元やレシピを整理する、つまり「座組」も大切。オーナーが、お客さんや取引相手に「これ今度うちで作ったんです」って渡したとき、相手に「わ! ぴったりですね」と喜んでもらえる、というイメージを念頭に置いています。
千早 編集者としての経験が活かされて、ちゃんとクライアントの要望と折り合いをつけて自分のフィールドに巻き込めるんですね。ご自身の好き嫌いみたいな、偏愛要素が出るものはないですか?
福田 偏愛的なものは、洋菓子系で焼き菓子になるのかも。その偏愛にはこのお菓子の包装も込みで好き、ということですね。
千早 茜(ちはや・あかね)
1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2008年「魚神」で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で泉鏡花文学賞、「あとかた」で島清恋愛文学賞、「透明な夜の香り」で渡辺淳一文学賞、「しろがねの葉」で第168回直木賞を受賞。著書に『マリエ』『雷と走る』『眠れない夜のために』『燻る骨の香り』、食エッセイ「わるい食べもの」シリーズなど多数。
福田里香(ふくだ・りか)
福岡生まれ。武蔵野美術大学卒業。お菓子が専門の料理研究家。書籍や雑誌、onlineへのレシピ提供、菓子メーカーの商品開発なと幅広く食の分野で活躍中。著書に『民芸お菓子』『いちじく好きのためのレシピ』『新しいサラダ』『物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50』、共著に『R先生のおやつ』など多数。

しろとくろの偏愛
2026年9月3日
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文藝春秋
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