AIの時代だからこそ、「思想」の時代が来る!
――「信じているぞ」という言葉がネットミームになったことで、改めて考えたことはありますか?
「信じているぞ」がネットミームになったことをきっかけに、いろいろと考えてみたんです。それで、これからは「思想の時代」が来るんじゃないかと予想していて。
というのも、今、AIがものすごい勢いで広がっているじゃないですか。AIはとても便利ですし、使いようだとも思います。でも、どこか違和感がありませんか? 私がAIに対して引っかかるのは、クリエイティブなものが軽んじられていることももちろんですが、そこに思想がないからだと思うんですよね。
人が何かを作る意味は、その人が何を考え、なぜそれを作っているのかに尽きると思うんです。意図が宿っているからこそ、人が作るものには価値がある。特に私はもともと料理家オタクなところがあるので、私以外の先生がすでに提案してくれているレシピをわざわざ私が作る必要がないかなと思っているところがあって。自分だからこそ!と自分が納得できるレシピや味を作っていきたい気持ちが強いんです。なのでより一層、身体性や思想のようなものが大事なのではないかと考えています。
以前は、情報はあればあるほどありがたがられていましたよね。でも今は情報が多すぎて、かえって何を選べばいいのかわからなくなっている。だからこそ、作った人の顔が見えるものや、その人の身体を通して生まれたものの価値が、これから高まっていくんじゃないかとも考えています。
――以前よりも、自分のために料理を作る/作らないという選択がしやすくなってきました。一方で、家族のため、あるいは今の暮らしを維持するために、料理をしなければならない方も多くいます。少しでも気持ちを前向きにするには、どうすればいいでしょうか?
難しいですよね。その人が置かれている状況によっても違いますし。自分一人なら納豆ごはんでもいいけれど、家族がいるとそうも言っていられないことがある。例えばそういうつらさを SNSに投稿すると「納豆ごはんでも別にいいだろう」「食べたい人が自分で作れ」「そんなことを思わせる相手と結婚したのが悪い」というように一刀両断するような意見がでてしまうことがあります。自分のために料理をして欲しいのは大前提としてありつつ、人の心や、家族の話はそんなに綺麗に0か100かで割り切れるものではないのにな、と、いつも思っています。
いろいろな選択肢があるのは、もちろんいいことです。ただ、答えが単純ではないぶん、かえってつらさが生まれることもあります。だから、自分の考え方やライフスタイルに合う料理家さんのレシピを探してみるのも、一つの方法だと思います。料理家さんのレシピの何がいいかというと、自分の気持ちを重ねられること。その人の考え方に共感できたり、感覚が合うと思えたりする人が示してくれた「正解=レシピ」に乗っかることで、少し楽になれる部分もあるんじゃないでしょうか。それが、自信にも、「自分が主体的に選んだ」という感覚にもつながっていくはずです。
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長谷川あかり(はせがわ・あかり)
料理家、管理栄養士。1996年生まれ。10歳から20歳まで子役、タレントとして活動。結婚を機に芸能界から引退。2022年から本格的に料理家として活動を開始し、SNSでのレシピが反響を呼び、テレビや雑誌、書籍などで幅広く活躍中。Podcast「長谷川あかりのシャニカマでごめんなさい」も人気。著書多数。『長谷川あかりの「あたらしい」きほんの料理』(オレンジページ)が、第13回料理レシピ本大賞で入賞。

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