早朝の観音様と三社様をめぐるガイドツアー

 朝一番のアクティビティは「粋だねぇ、明けの浅草さんぽ」。観光客で大いに賑わう日中ではなく、ここに暮らす人たちの時間が流れる早朝に、浅草寺の境内を巡るガイドツアーです。

 ツアーの出発は6時過ぎですが、少し早起きしてルーフトップテラスへ。浅草寺本堂の南東にある鐘楼の鐘の音を聴くためです。この鐘は、五代将軍・徳川綱吉の命で鋳造されたもので、江戸市中に時刻を知らせた「時の鐘」のひとつ。

 今も現役で、かつて江戸の時刻制度で夜明けを表した「明け六つ(6時)」に、役僧によって撞かれています。静かに耳を傾けていると⋯⋯あれ? 8回鳴った?

 「最初の2回は、注意を促す鐘で、そのあと、時刻の「六つ(6回)」を撞くので、合計8回なんです。この音を合図に朝の読経が始まり、同時に本堂の扉が開きます」。そう教えてくれたのは、この日のツアーガイドでOMOレンジャーの宮澤さん。頼りになります。

 境内へは、ホテルから馬道通りを渡ってすぐの「二天門」から入り、浅草神社~本堂~西境内~宝蔵門~仲見世~雷門をめぐります。

 浅草寺本堂のすぐ隣に位置する浅草神社は、浅草寺誕生の物語に登場する3人の神様を祀る神社。その昔、漁夫の兄弟の網にかかった像を土地の文化人に見せたところ「これは観音様(聖観世音菩薩)に違いない」と教えられ、お堂を建てて祀ったのが浅草寺の始まりなのだとか。

 この漁夫兄弟と文化人の3人が、今も「三社様」として親しまれているというわけです。5月の三社祭も、この故事にちなんだお祭り。あの勇壮なお神輿に乗っているのも、この3柱の神様たちなんですね。浅草っ子は今も、浅草寺を「観音様」、浅草神社を「三社様」と呼んでいます。

 本堂でお参りを済ませ(堂内は撮影禁止)、20ものご利益があるという“ご利益のデパート”西境内を冷やかし、本堂正面に建つ宝蔵門へ。門裏に掛けられている重さ約500kgの大わらじは仁王さまの力を表し、魔除けとして伝わるもの。ここが江戸城から見て鬼門にあたるためだそうです。

 仲見世の店舗はどこもまだ営業前ですが、シャッターには浅草の年中行事が色鮮やかに描かれており、見応えがありました。「仲見世は、江戸時代に近隣住民へ課された境内清掃の見返りとして、参道で店を出す権利が与えられたのが起源と言われています」と、OMOレンジャーの宮澤さん。

 関東大震災のときも、浅草の人々は自宅を差し置いて浅草寺を守ったといわれます。そして令和の今も、観音様と三社様を守り、守られている浅草っ子。暮らしに根付いた信仰が、ちょっとうらやましい気もしました。

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