あえて「何も意図しない」ようにしたんです

――今回演じたし~なは強欲で謎めいた女性です。なぜ彼女が「カネがすべて」という価値観に至ったのか、過去や生活感を想像して肉付けした部分はありましたか?

 自分の中でもあまりし~なに対するイメージは掘り下げず、「彼女が何歳か」みたいなこともまったく考えずにやりました。観客のみなさんにとっても「謎の人」として最後まで見続けられる存在でいようと思ったので、意図しているものが溢れ出ないように、あえて「何も意図しない」ようにしたんです。し~なの強欲さが、理由のない欲として見えた方が、すごく気持ち悪い感じがするんじゃないかと思って。あとは原作や、韓国で映画化された作品などを参考にしつつ、自分なりに解釈して現場へ持って行きました。

――ステレオタイプな「夜の女性」にならないために、何か別の解釈を加えたりはしましたか?

 キャラクターの中にある「優しさ」のようなものです。それをより地に足がついた感じとして画面で見せていけたら、観客の方にも信頼してもらえそうな気がしたんです。記号としての「夜のイメージ」と、人間味としての「優しさ」。その両方を大事に成立させられたら、より存在が謎めく気もしたので、そこは意識して演じていました。

――ご自身は、し~なについて「悪人だ」と思っていましたか?

 私が今まで演じた中で一番の悪人です(笑)。もちろん悪人なんですけど、「今後これを超える悪を演じるのもすごく楽しみだな」と思うくらいで。やる事なす事が全部自分勝手な女性のような気もしていて、そこまで逆に真っ直ぐになれるのも清々しいというか、かっこいい域に達しているので、ぜひ楽しみに待っていただければと思います。

――欲望にそこまで忠実な姿というのは、魅力的に映る部分もありますか?

 自分以外を捨てるくらいの勢いで欲しいものに進んでいける人って、極端すぎて難しい存在ですが……たとえばそういう人が向かってきて、自分のものを奪われたとしても、「なんかそれはそれで笑えるな」という気がしてくるというか。「大事にしてね」みたいな気持ちになってくるので、どっちつかずでいるよりも、逆にかっこいいと思います。もちろん人を殺したり法を犯したりしているところは悪いんですけど、突き抜けている部分は人として魅力的にも映りました。

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