ミュージシャンのみならず、幅広いジャンルで活躍してきた近田春夫さんが、半世紀を超えるそのキャリアにおいて交遊を繰り広げてきた錚々たる女性たちとトークを繰り広げる対談シリーズが、「おんな友達との会話」。
8人目のゲストは、新刊『年とる力』(文春新書)が話題を呼んでいるエッセイスト、作家の阿川佐和子さん。近田さんとは、実は同じ時期に同じ慶應義塾大学文学部に在籍していたものの、当時は面識がなかったという。数年前に知り合い、今では肝胆相照らす仲となった二人の軽快なトークをお楽しみあれ。
作家の父親を持つ子ども同士が結託
近田 阿川さんはさ、父上である弘之さんからずいぶん大変な目に遭わされてきたよね。しかし、お父さんは何だか子どもっぽくて、憎めないところがある。まあ、あくまでも外野だから、そんなこと言えるのかもしれないけど(笑)。
阿川 作家の子どもは、同じような経験をしていることが多いらしくって、何度か、「文士の子ども被害者の会」と銘打った座談会を行ったことがあるんです。
近田 被害者の会(笑)。
阿川 最初は遠藤周作さんの息子である遠藤龍之介さん、北杜夫さんの娘である斎藤由香さん、劇作家の矢代静一さんの娘である矢代朝子さん、そして私の4人で、「町田市民文学館ことばらんど」という施設のホールでイベントに出演したんです。
近田 おお、豪華な面々ですね。
阿川 この4人は、父親同士の仲が良かったんですが、まあ、どの親のエピソードを取っても爆笑ものでして。とても盛り上がりました(笑)。
近田 遠藤龍之介さんは、フジテレビの社長を務めていた方ですよね。
阿川 ええ、そのお父さんの周作さんは、たくさんの趣味をお持ちの方でした。ある時、催眠術に凝って、10歳ぐらいだった龍之介ちゃんで試したんですね。「お前はだんだん眠くなる、眠くなる」とか言われると、龍之介ちゃんは、いい子だから、気を遣ってかかった振りをする。
近田 本当は全然効いてなかったんだ。周作先生、違いの分からない男だったのね(笑)。
阿川 そうそう。それで、仰向けになって寝た振りをしていると、「お前の体は今、鋼鉄のごとく硬くなって、何を載せても重くないはずだ」といって、お腹の上にテレビをドンと載せられたんですって。
近田 昔のブラウン管時代のテレビって、今とは違って薄くなかったから、相当重かったはずだよね。
