【冬】発酵食、雪室の野菜。雪国の知恵がたっぷり
新潟の中でも雪深いこの地域は、冬場の食料保存の知恵に長けています。冬の里山十帖は、発酵食を楽しむフルコース。
始まりは「薬膳出汁」から。これから登場する料理で使う野菜の屑や、春にとっておいた山菜の根、木の皮、乾燥した葉などに里山の湧き水を加え、コトコト煮ています。
冬季の貴重なたんぱく源となる川魚。内臓を取り除いたカジカをクロモジの枝に刺してシンプルな素揚げに。冬のカジカは脂をほどよく蓄えているそう。
雪室で甘みが増したにんじんを使ったひと皿、ゼンマイやウドや猪のハムといった発酵食の珍味、と冬ならではの品が続きます。
縄文時代から食されていたという木の実・栃の実のお餅「栃餅」が腕ものとして登場。下処理が大変な栃の実は、アクを抜くだけでも1か月ほどかかるそうで、桑木野シェフのこの手間暇を惜しまない姿勢に改めて感動を覚えます。
魚料理は、炭火で皮目だけを炙ったブリを、色も食感も異なる大根の下に忍ばせたブリ大根。この地域のジビエをハーブに漬けて干した3種の珍味の盛り合わせも供され、ペアリングの美酒がどんどん進みます。
メインディッシュとなる肉料理は、八海山麓で狩猟された猪の肉をロースト。合わせている野菜は、雪の中の白菜を軽く干して炭火で焼いたものと、黒大根を薄くスライスしたもの。甘みたっぷりでこちらもまた冬の美味です。
冬の「里山十帖」は、滋味深い発酵食と保存食づくし。単なる郷土料理ではなく、モダンで新たな彩りを添えた自然の恵みをいただきました。
ローカル・ガストロノミーとは、土地の記憶を未来へとつなぐ営み。里山十帖は、その最前線に立つ一軒です。春夏秋冬、何度でも帰りたくなる場所。次の美食旅は、南魚沼から始めてみませんか。
里山十帖
住所:新潟県南魚沼市大沢1209-6
電話番号:0570-001-810
部屋数:13室
料金:1室2名利用 1名2食付 32,395円~
https://www.satoyama-jujo.com/
