『トワイライト・ウォリアーズ』十二少の役作り
――7人の巨匠監督によるオムニバス映画『七人樂隊』(21年)では、ジョニー・トー監督の「ぼろ儲け」に主演。トー監督の演出の下、変動する株価に翻弄される男女3人の会話劇を演じられました。
出演することが決まったときは、7人の素晴らしい監督のコラボ作品ということで、とてもワクワクしつつ、緊張もしました。俳優業を始めて2、3年目ぐらいのときだったのですが、初めての35mmフィルムカメラでの撮影だったんです。だから、カタカタとカメラが回るときの音を聞きながら演技をすることに、最初は戸惑いましたね。
初日の撮影が終わった後、トー監督が僕ら3人のところにやって来て「君たちダメだ。だから、これから一緒にご飯を食べながら脚本について深く話し合おう」とおっしゃって。噂で聞いていた通り、妥協を知らない厳しい監督だということを実感しました。
――25年に香港で放送された、トー監督のプロデュースによるTVシリーズ「三命」(日本未放送)にも出演されています。
俳優になる前、僕はトー監督の『エグザイル/絆』を観て、「こんなに登場人物全員がカッコよく、スーパーヒーローにしかみえない映画は初めてだ!」と感激していたぐらい監督のファンでした。だからまた声をかけてもらえるなんて、夢のようでした。監督は脚本も書かれるほか、現場の雰囲気、脚本に対する理解、撮影のあらゆることを熟知していて、まさに映画の神様のような存在でした。
監督との現場で、演技についてたくさん学ばせていただき、とても光栄に思っています。実は監督とは同じサッカー仲間で、今でもよく会っているんです。2025年の8月に北海道日本ハムファイターズの試合に監督が始球式に出られたと思うのですが、彼は僕が野球もやっていることを知っていて、「一緒に北海道に行かない?」と誘ってくれたんです。でも、残念ながら、僕は予定が入っていて行くことができなかったんですよ!
――そして、映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』(24年)では、これまで演じた役と異なる十二少(サップイーシウ)というキャラを演じられましたが、役作りについて教えてください。
最初は、どのようなキャラクターなのか、なかなかつかめませんでした。ただ、幸運なことに、ソイ・チェン監督は僕たち俳優に「それぞれの役柄をどのように演じるべきか?」を考える時間と空間をたっぷり与えてくれたんです。そして、「現場で役を演じていくうちに、どんどん役を理解できるから大丈夫だ」と言ってくれました。
そして、僕自身は「原作に寄せ過ぎるのも良くない」と思いつつ、『レイジング・ファイア』の現場で学んだように、「城寨四少」というチームの信一や四仔、陳洛軍という、それぞれのキャラの特徴を観察し、そこからちょっとナルシストで、ちょっと悪戯好きな十二少のキャラクターを生み出しました。
過酷でハードな中、「城寨四少」で励まし合った撮影
――谷垣健治さん指導による、初めての本格アクションはいかがでしたか?
健治さんを始め、アクションチームのみなさんは、とてもプロフェッショナルでした。事前に徹底的にトレーニングをして、みなさんと話し合いをしてから現場に臨むことができたので、とてもやりやすかったです。健治さんは、とても真面目なのですが、常にユーモアを忘れない方です。そして、まるで口癖のように「このテイクは良かったけれど、今度はもっと巧くできるよ」と、僕たちの士気を高めてくれました。僕と(信一役の)テレンス・ラウは、その言葉を言っているときの健治さんのモノマネができるようになるくらい(笑)。健治さんが新たに撮られた監督作『火遮眼The Furious』の成功も心から祈っています。
――では、信一役のテレンス・ラウさんとの出会いや印象について教えてください。
5、6年ほど前に知り合い、すぐ友人になりましたが、『トワイライト・ウォリアーズ』まで一度も共演がありませんでした。彼は香港演芸学院の演劇学部出身なので、演技が巧いだけでなく、TVドラマと映画の異なる撮影環境に対する適応力が高い。そして、舞台やカメラの前での演技に慣れているので、とても芝居が自然です。しかも、アイデアマンで、リーダーシップを持っているのに、謙虚で控えめな性格。結婚もされてお祝いしたいのですが、お互い忙しくて、全然会えていません。寂しいので、早く(『トワイライト・ウォリアーズ』続編のための)トレーニングで会いたいです。
――続いて、本作の主演・陳洛軍役のレイモンド・ラムとの出会いや印象について教えてください。
7年ぐらい前、彼がウチの会社(ルイス・クー率いる天下一集團)に移籍したばかりの頃、食事会に招かれて、友だちと彼の家に行ったのが、最初の出会いでした。そのときからナイスガイで、印象はまったく変わっていません。今ではまるで兄弟のように仲が良いです。
『トワイライト・ウォリアーズ』で「城寨四少」の4人一緒に撮影していたときは、どんなに過酷でハードであっても、みんなで毎日励まし合い、エールを送り合って、一緒に楽しむようにしていました。そのおかげで、僕ら4人の兄弟は、この現場で本当にたくさんの経験ができたと、今でも感謝しています。
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トニー・ウー(胡子彤)
1992年4月16日生まれ。香港出身。香港代表の野球選手として、さまざまな大会に出場。2016年、『最初の半歩』で俳優デビューし、「第36回香港電影金像奨」最優秀新人賞を受賞。その後、『レイジング・ファイア』(21年)、『七人楽隊』(21年)、『神探大戦』(22年)などに出演し、注目を浴びる。24年に公開された『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』では、黒社会に所属する若頭・十二少役を演じ、日本でも人気を博す。また、歌手としても活動している。
