実際の虎兄貴も、親戚のおじさん的存在

――映画『最初の半歩』で「第36回香港電影金像奨」の最優秀新人賞を受賞したことでの心境の変化は?

 香港の「金像奨」や台湾の「金馬奨」(中華圏を代表する権威ある映画賞)の候補になっても、それがどんなに凄いことが分からなかったので、ずっと戸惑っていました。とはいえ、事務所の方から声をかけていただいたことで、「せっかくの機会だから、若いうちにいろいろ挑戦してみたい」という気持ちに変わり、エンターテインメントの世界に入ることを決心しました。

 そしてこれまで、与えられた役をしっかり演じることを目標に一歩一歩進んできました。一歩一歩積み重ねていけば、監督や観客のみなさんがしっかり見てくれると信じて頑張っています。

――18年公開の映画『逆流大叔』(日本未公開)では、リストラから免れるために香港の伝統的な競技ドラゴンボート・レースの大会に出場する会社員役を演じました。

 ジャンル的には『最初の半歩』と同じスポ根映画ですが、今度のチームメンバーは、フランシス・ンさんら大先輩の俳優たち。僕にとっては新たなチャレンジでしたが、スポーツ選手としてのプライドを強く持って挑みました。

――その作品で初共演したのがケニー・ウォンさん。その後、たびたび共演し、映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』ではトニーさん演じる十二少の兄貴分・虎兄貴(Tiger哥)を演じています。ケニーさんは、どのような存在ですか?

 ケニーさんは大先輩なのに、とても紳士的で、謙虚な方です。そして、俳優としてのヴィジョンをしっかり持たれているところが印象的でした。言葉ではちょっと表現しにくいのですが、彼と僕の関係性は、僕が『トワイライト・ウォリアーズ』で演じた十二少とTiger哥に似ているかもしれません。僕の面倒をよく見てくれて、困ったことがあるときは、何でも相談に乗ってくれます。僕の成長をずっと見守ってくれる親戚のおじさん的存在で、本当に素敵な方です。十二少とTiger哥も、日本でとても愛されるキャラクターになり、僕らはとても嬉しく思っています。あと、なぜか彼はみんなから「得分神(得点王)」と呼ばれているんですよ。

冗談かと思った歌手デビュー

――20年、映画『ある妊婦の秘密の日記』の挿入歌となった「那時候」から歌手活動がスタートします。もともと、歌うことは好きだったのですか?

 幼い頃から歌うことは好きでした。映画がクランクアップしたときの打ち上げでは、カラオケに行くのが定番なのですが、あるとき、僕が気持ち良く歌っていると、マネージャーから「歌いたい?」と聞かれたんです。そのとき、「どういう意味?」と思っていたら、一週間後に「歌手デビューするから準備して」と言われて、最初は冗談かと思いました。俳優に続いて、また新たな道を歩むことになり、信じられない気持ちでした。

――ちなみに好きな歌手は? また、カラオケでよく歌う曲があれば、教えてください。

 好きな歌手はたくさんいるのですが、強いて選ぶならイーソン・チャンさんです。あと、大先輩であるレスリー・チャンさんの「玻璃之情」と「今生今世」はカラオケでよく歌います。それから、ジャスティン・ローさんも好きです。彼らはステージ上での表現力が本当に素晴らしく、演じることで物語を語るように、歌うことで物語を伝えることができるんです。僕も彼らのような表現力を目標に、歌手活動しているんです。

» 続きを読む

トニー・ウー(胡子彤)

1992年4月16日生まれ。香港出身。香港代表の野球選手として、さまざまな大会に出場。2016年、『最初の半歩』で俳優デビューし、「第36回香港電影金像奨」最優秀新人賞を受賞。その後、『レイジング・ファイア』(21年)、『七人楽隊』(21年)、『神探大戦』(22年)などに出演し、注目を浴びる。24年に公開された『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』では、黒社会に所属する若頭・十二少役を演じ、日本でも人気を博す。また、歌手としても活動している。

次の記事に続く 〈トワウォ十二少役でブレイク〉野球選手から俳優へ転身…...