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 初主演ドラマ『いいひと。』から約30年。数々の役を重ねてきた草彅剛さんが、今作で新たに挑むのは、遺品整理に携わるシングルファザー役。ドラマで描かれる「大人のせつない恋」について、そして自らの人生に重ねるジーンズへの思いを聞きました。


子役の子のおかげで現場はアットホームな雰囲気

――約20年前、『僕と僕の彼女の生きる道』でもひとりで子どもを育てる父親を演じていらっしゃいました。当時と同じスタッフが集結し再びシングルファザー役に挑まれた今回、演じるご自身の内面に変化や新しい発見はありましたか?

草彅さん そこに対してはあまり意識をしていないかも。でも、20年たって僕も丸くなっているので、以前より温かいシーンが生まれているんじゃないかなとは思います。役名で呼んじゃっていますが、陸くんが(草彅さんの息子役を演じる、永瀬矢紘くん)本当にかわいい子で。陸くんがいてくれるからこそ、父親役というのは今の自分にふさわしい役柄なんだと改めて感じられています。

 陸くんは頭がいいから、大人がやってほしいことが手に取るようにわかるんですよ。本当にうちの息子は優秀なんです。僕の脱いだ靴とか、きれいに直してくれるの。すごいよね!

 僕は彼の手のひらで遊ばれているだけ。現場は彼のおかげもあって、雰囲気はとてもいいですね。僕の演技もいい感じ。チーム一丸となって頑張っています。

――なごやかな雰囲気で撮影されている本作では「せつない大人の恋」が描かれるそうですね。草彅さんは「大人の恋」と聞いて、どんな恋愛をイメージされますか?

草彅さん やっぱり、大人って聞くと『失楽園』のような不倫を想像しちゃいますよね。踏み込んではいけないような、そして手を伸ばすことさえ許されないような、禁断のイメージ。

 今回僕が演じる鳥飼樹は、倫理観を問われかねない役柄。鳥飼の恋愛がどんなふうに進んでいくのか、自分自身も楽しみにしています。

2025.10.12(日)
文=高田真莉絵
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=荒川英亮
スタイリスト=栗田泰臣