ニューメキシコのご当地フードを味わうなら老舗薬局へ!?
アルバカーキのルート66で、もうひとつ絶対に味わいたいのがニューメキシコの伝統料理。その名店として地元の人々に愛されてきたのが「デュラン・セントラル・ファーマシー」。
驚くなかれ、1942年創業の老舗薬局です。でもなぜ、ファーマシーで美味にありつけるのかというと……。

創業から約80年、さらに半世紀以上にわたって家族経営を続けるこちらの薬局。ただの薬局ではありません。


広々とした店内にはもちろん薬品コーナーもありますが、上質な地元産ラベンダーを使った自然派コスメ「ロスポブラノス」をはじめ、おみやげに喜ばれそうなアイテムが豊富なギフトショップがあったり……。


さらに「デュラン」で地元の人々に長く愛されてきたのが、店内に併設されたニューメキシコ料理レストラン。こちらもレトロなムードを醸していて、いかにもルート66な雰囲気です。

メニューは昔ながらに手間暇かけて作られるニューメキシコ伝統の家庭料理。手作りのタマレス、エンチラーダ、ブリトー……。メキシコ料理のようだけれど、それとはかなり異なる「ニューメキシコ料理」。
とうもろこし、豆、かぼちゃ類を主体とするネイティブアメリカンの食文化と、スペイン、メキシコ、アメリカ、それぞれの統治時代のフードカルチャーが影響し合って生まれた、まさにこの地でしか味わえない独自のものなのです。

最大の特色は、レッドチリやグリーンチリを煮込んで作る伝統的なソース。いかにも辛そうですが、口にしてみると激辛ではなく、スパイシーでいて深みのある味わい。
ちなみにニューメキシコのレストランでは、注文の際に「Red or Green?(赤、それとも緑?)」と聞かれることがしばしば。どちらにするか迷ったときは、「Christmas, please(クリスマスで)」と伝えれば、レッドとグリーンの両方をかけてくれます。


レトロで楽しいアメリカンダイナーから、地元で愛される伝統料理、さらにはサステナブルなヘルシーフードまで、アルバカーキのルート66は、アメリカならではの多様な食文化を楽しめる道でもあるのです。
2025.07.22(火)
構成・文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=GO USA