標準治療を選んだ理由
これまでずっと、身に起きたこと、思ったことを赤裸々に発信してきた私だけど、それはがんになっても一向に変わらない。むしろ、加速しているところもある。
「びっくりした」
「絶対に治ります」
「アンナちゃんでも、がんになるんですね」
「私もがんサバイバーですが、あなたよりも大変でした」
「再発するから、◯◯は食べないで」
治療過程だけでなく、医療費や家族の話も明かしてきたからなのか、反響は予想以上に大きかったし、いろいろな声が寄せられた。
すこし意外だったのが、標準治療を受けたことに対する声が多かったこと。そして、必ず言われたのが、このふたつ。
「アンナちゃんは、どうして標準治療を選んだの?」
「アンナちゃんが、標準治療について話してくれてうれしい」

がんセンターのみなさんには、感謝までされてしまった。先生、看護師さんはもちろん、執刀してくれた外科の先生もわざわざ病室まで来て「アンナさんみたいに標準治療のことを話してくれた人はいない。ありがとうございます」と言ってくれた。
私としては、実にシンプル極まりない話で、あの日、あの時「ステージ3Aです」と言われて、「それなら標準治療だよね」という選択をしただけ。「う~ん、どうやって治そう」と悶々としたり、熟考することなんてなく、反射的に「標準治療だよね」。それ以外のなにかを選ぼうとは考えもしなかった。
自由診療や民間療法がダメだとか、それを受けている人がどうこうとか言う気なんて、さらさらない。自由診療っていうぐらいだから、受けたい人は自由に受ければいい。私だって自由診療である胸専用のMRIを受けてるし。
2025.07.08(火)
文=平田裕介