美大かお笑いの養成所か迷っていた

――SNSで作品を上げると、色々な反応がくると思いますが、「いいね」の数やコメントなどは気にされていますか?

秋山 はい、コメントはもう楽しく全部読んでます。僕のひとコマの絵に対して、ツッコミを入れてくれていたり、その先を想像してくれていたりするのが、嬉しいし面白くて。

――やはり小さいころから絵が上手かったり、描くのがお好きだったのでしょうか?

秋山 はい、絵に関しては、家族や友達が一番ほめてくれたこと、という記憶がありますね。教科の中でも図工・美術が好きだったし成績もよくて。なので高校は美術工芸コースに入って、美大を目指していたんです。でもその時のクラスの人たちがものすごく絵が上手くて。それまでチヤホヤされていたのがウソのようになり、ちょっと自信が失せてしまいまして……。だから高校3年のもう3月ギリギリまで、美大に行くかお笑いの養成所へ行くか、迷っていました。

――そうだったんですね。今は、お仕事がかなりお忙しいと思うのですが、イラストはいつ描いていらっしゃるのでしょう?

秋山 「この時間に描くぞ」と決めているわけではなくて、本当に仕事の移動中や、自分が机に向かって作業をしているときに気分転換も含めて描いたり、思いついたらすぐiPadを出して描いてます。

――どんなアプリを使っていらっしゃいますか?

秋山 疎いので、特に難しいアプリは使っていないんですよ。数年前にiPadを買った時に、一番最初に入れた無料のイラストアプリで描いています。直したりサイズを変えたりするのはすごく便利ですね。

――無粋な質問にはなりますが、最近の中でも特にお気に入りのイラストはありますか?

秋山 なぜか「いいね」の数や反響と、自分のお気に入りが一致しない時もあるんですが(笑)、この「師匠と力を合わせて握った寿司」ですかね。これ、少年漫画の感覚かもしれないんですけど、バトル漫画で主人公が「ヤーッ」って必殺技を出したら、背後で師匠が合わせて必殺技を出してくれている、みたいなイメージで描いたんですよ。

秋山 高級寿司店で、ようやく弟子がお寿司を握って「へい、お待ち!」って出したときに、師匠も一緒に手を添えていたらすごいイヤだな、と思って(笑)。お寿司って、ひとりが素手で触っているのは問題ないですけど、急にもうひとり増えたら「そんなに触らないで!」って一気に残念な感じになるなと。

――それは確かにイヤですね(笑)。

秋山 それをわざといい話風に描こうと思ったんです。でもその意図を上手く伝えられなかったみたいで、思いついたときはひとりでニヤニヤしてたんですが、思ったより反応が薄かったです(笑)。

――マクドナルドさんとのコラボのイラストも面白かったですが、どんなプロセスで出来上がっていったのでしょうか?

秋山 はい、イラストの反響が増え始めてからすぐにお話をいただいて、テーマは“マックのカフェラテ”ですが、基本的に僕の自由に、普段の感じで描いてくださいというオーダーでした。打ち合わせでカフェラテについての情報などを聞きながら、ホットドリンクのオレンジのカップって中身がわからなくなるよな、とか“マックあるある”みたいなことを思いついたりして。

――この「差し色コーデ」も面白いですね。

秋山 このカップのオレンジがすごくきれいで、この色を見たらすぐ「あ、マックのカフェラテ持ってる」ってわかるなと思って、それを差し色にしたコーディネートというのを思いついたんです。

2025.07.08(火)
文=斎藤真知子
撮影=佐藤 亘