お笑いトリオ・ハナコの秋山さんの描くイラストが、「面白いし可愛い」とSNS上で大きな注目を集めています。
絵の上手さもさることながら、誰でも思い当たるような日常のワンシーンを題材にしているのに、目のつけどころや切り取り方が面白く、見るとつい「フッ」と笑いが漏れてしまう独自のイラストは、殺伐としがちなSNS界隈をポジティブな空気に変えてくれています。
すぐさまマクドナルドとのコラボも実現した、実力も十分なこのイラストについて、アイデアはどのように生まれるのか、忙しい中いつ描いているのかなどなど、根掘り葉掘り聞いてきました!
「秋山は絵を描くのが好きなんだ」ということを知ってもらいたい

――イラストは以前から描かれていると思いますが、今年特に定期的にXにもアップされるようになったのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
秋山寛貴さん(以下敬称略) イラストは大好きな趣味で、Instagramにずっと上げていたんです。2024年の年末近くに、クリスマスが近いので「本番近いトナカイ」というイラストをXの方にも上げてみたら、今までにはないくらい「いいね」が付いたりと反響がありまして、「わ、嬉しい」と思って。

――トナカイがアスリートみたいで面白いですね(笑)
秋山 はい、それで少し注目していただくようになってきたので、なるべく多く描きたいなと。「秋山は絵を描くのが好きなんだ」ということを知ってもらいたいのもあって、少し頻度を上げていきたいと思いまして。
――いつも拝見すると「フッ(笑)」と声が出てしまうほど面白いのですが、アイデアは常にためているのですか?

秋山 ためてはいません。ふと思いついて「あ、そうだ、描きたい!」と思って描いたり、僕が担当しているラジオ(文化放送『レコメン!』)の企画で、リスナーの方々からお題をもらってイラストを描くこともあるので、完成するまでの時間もバラバラなんです。
――そうなんですね! シチュエーションの切り取り方や目のつけどころにとてもセンスを感じます。編集担当がこの「焼き肉」シリーズでとてもウケていまして(笑)。


秋山 嬉しいです。それも自分が焼き肉を食べた後に思いついて描きました。上司が紙エプロンを外し忘れていることに気づいた部下がそれを取ろうとするイラストを2枚目に足して。
――2枚目に続くシリーズも結構ありますね。
秋山 そうですね。続きが描きたくなったものは続篇を描いたり。この鳩時計シリーズも、元々ラジオのリスナーからいただいた「鳩時計の扉の中側が見てみたい」というアイデアをイラストにしたんですけど、確かに鳩時計って基本は1時間に1回登場すればいいから、出番は少ないわけですよね。なのでそれ以外の時はきっとくつろいでいるんだろうなっていうのを勝手に想像して、ソファに座らせてコーヒー飲みながら、本を読んでるみたいな内容にしました。

秋山 それを上げたら「出番直前の鳩も見てみたい」といった声が多く届いたので、じゃあギリギリ1分前の状態を描こうと思って。もう本はソファに置いて、扉の前にスタンバイしている状態を描きました。きっかりに扉が開いた時に鳴かなきゃいけないから(笑)。

――ちゃんと本がソファに置いてあるところが芸が細かくて好きです(笑)。コメントやラジオのリスナーさんのアイデアなどから、さらにイラストを展開されているんですね。
秋山 そうなんです。例えばもうひとつ、お風呂場で頭を洗っていると、背後に気配がするって怖い話がありますよね。それを「怖くなくなれ!」と思って、「背後に感じる気配は、後ろでお化けも一緒に頭を洗ってるからなんだよ」というイラストを描いたんです。そうしたら絵のタッチのせいか、「怖い」「お風呂入れなくなった」みたいなコメントがきてしまって……。

秋山 わ、ヤバい、僕の意図とは逆に怖がらせちゃった、どうしよう! と思っていたら、コメント内で「背後に感じた時って実は真上にいるらしいよ」なんて怖がらせ合いも始まっちゃって。それを見て、上に髪の長い女性がいて、垂れてきた髪を下の人がニコニコ洗ってあげているっていう、イラストを描いたんです。そうしたら「そっちの方がいいね」みたいな雰囲気になって、2枚目の方が「いいね」の数も上回ったんです。

――そんな風に広がっていくのが面白いですね。
秋山 はい、基本はひとコマなんですけど、広がる時はより嬉しいですね。
2025.07.08(火)
文=斎藤真知子
撮影=佐藤 亘