バンド・メンバーはYMOゆかりの豪華陣容

 バンド・メンバーはギター、ヴォーカルの高野寛に、イエロー・マジック・チルドレンにも参加していた高田渡の子息でもあるギター、ヴォーカルの高田漣、シーケンサーとホーンのゴンドウトモヒコ、坂本龍一と同じく東京芸大卒で共演経験もあるキーボードの網守将平、そしてリトル・クリーチャーズの鈴木正人がベース、ドラムは大井一彌という布陣。YMOやその関連バンドでメンバーたちと何度も共演してきたゆかりのYMOチルドレンだ。高野、高田、ゴンドウはYMOのサポートもしていたほか、高橋幸宏と原田知世が参加したバンドpupaのメンバーでもあった。

「君に、胸キュン。」のような王道ヒット曲から通好みの曲まで

 コンサートのオープニングは、まずYMOとも関わりが深いテイ・トウワによる30分のYMO関連曲しばりのDJセットからスタートした。「君に、胸キュン。」のような王道のヒット曲から「ビー・ア・スーパーマン」「ザ・マッドメン」のような通好みの曲、また「レキシントン・クイーン(アウトサイド)」のような未発売の超絶マニアック曲までYMO関連のメガミックスで会場を盛り上げた。終了後「YMOしばりは難しい。YMOファンのテイ・トウワでした!」と一礼してステージを去り、いよいよコンサートが開幕する。

 YMOの楽曲「来たるべきもの」でお馴染みの無限上昇音をイントロとして、まずモダン・ヴィンテージ・フューチャー・オーケストラ単独による「テクノポリス」。1979年に発表された坂本龍一による楽曲で、日本においてYMOの初めてのシングルとなり、CMなどにも使われ大ヒット曲となった。1980年代のYMOブームの嚆矢ともなった一曲だ。坂本龍一による印象的な「TOKIO!」というヴォコーダー・ヴォイスは高野寛が担当。高橋幸宏と並んで高野の師匠とも言えるアメリカのカリスマ的ミュージシャン、トッド・ラングレンもこの「テクノポリス」のカヴァーを発表している。高野寛にとってはいくつもの意味で感慨の深いカヴァー演奏となったのではないだろうか。

 続く「中国女」は高橋幸宏作の1曲。イギリスでシングル・カットされてヒットも記録している。ここでは、かつてのpupaを彷彿とさせる高野寛と高田漣のデュエットが披露され、どこかユニゾンで高橋幸宏の声も聞こえてくるような気持ちにもなった。

2025.06.27(金)
文=吉村栄一