流行にあわせるべき産業である
ドラマはトレンドの影響を受けるし、反対に新しい流行を生み出すこともある。
作品の人気は、公開当時の大衆の趣向、関心をはじめ、経済の流れや気候など、多様な影響を受ける。散々な失敗を経験した監督や作家たちがよく口にする言葉のひとつが「生まれる時代を間違えた」である。10年後だったら大バズりしただろうという、確信や鬱憤のこもった言葉も聞いた。
どれくらいの時間を先取りすればいいのだろうか?
企画から執筆、制作、放送まで、どのくらいかかるかを予測するのはむずかしい。ドラマは今現在のトレンドにあわせてつくるのではない。
今のトレンドよりも未来を見すえなければならない。
作家は、近未来がどんな様子かを見通すセンスを問われているのだ。
未来についての関心とセンスが興行感覚を育てるのだ。
パク・ソンス
「このドラマの前後で韓国ドラマ史は分けられる」といわれるドラマ『勝手にしやがれ』(2002)で百想芸術大賞、韓国放送大賞、韓国放送プロデューサー賞など、名だたる賞を受賞。このドラマから「ドラマ廃人」という新語も生まれる。主な演出作品に、『おいしいプロポーズ』(2001)、『No Limit~地面にヘディング~』(2009)などがある。演出家として、多くの新人脚本家とともにドラマを作ってきた。2014年から2017年までMBCドラマ局長を務めながら新人賞受賞作品をドラマ化し、新人脚本家の道に光をあてると同時に、ドラマの新境地を開く。ドラマの企画や演出経験をもとに、韓国放送作家協会教育院、韓国芸術総合学校、中央大学(韓国の大学)などでドラマの講義を行う。

韓国式ストーリーのつくりかた
定価 2,200円(税込)
日経BP
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2025.06.17(火)
文=パク・ソンス
翻訳=松原佳澄