父としても映画監督としても冒険心がある人

──父であり、映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラをどのように思っていますか?

コッポラ監督 それは答えにくい質問だね。もちろん彼は僕の父だし、家族としてのつながりが一番にあるけれど、父としても映画監督としても冒険心がある人だというのは間違いないと思う。

 ちょっと私的な話になるけど、僕が子どもの頃、家族でサンフランシスコに住んでいたことがある。その時、父は70年代のT型フォードを買って、その車でゴールデン・ゲート・ブリッジを渡って40マイル離れた友人の家まで家族を連れてドライブしたんだ。チャイルドシートもなかった車だから、母は大反対。案の定、途中で車はオーバーヒートして立ち往生したんだけど、最終的には友人宅にもたどり着いたし、それは僕にとっても非常に楽しかった思い出のひとつになっている。

 つまり、僕にとって、どんな時も冒険心を持って意欲的に行動するのが父親というもので、「多少の困難があろうと、乗り越えられない困難はない」ということを、身をもって教わったように思っています。

父と共通するDNA

──そんな尊敬する巨匠のDNAをご自身にも感じることがありますか?

コッポラ監督 どうだろう。ただ、僕のフィルモグラフィーを見てもらうとわかるように、短編・長編の監督作はもちろん、脚本だけの作品もあれば、アイデアだけ関わった作品もある。こんなふうに、さまざまなスタイル、ジャンルで仕事をしているのは、自分がやってきたことに自分自身で刺激を受け、つねに新しい挑戦を続けてきた父・フランシス・フォード・コッポラと共通するDNAなんじゃないかと思っています。だから僕のなかにも、父と同じような冒険心と好奇心があるんじゃないのかな。そう思います。

『メガロポリス』(原題:Megalopolis)
6月20日(金)IMAX他全国劇場にて公開
STORY
近未来の都市ニューローマで、天才建築家カエサル(アダム・ドライバー)は、理想都市「メガロポリス」開発を推進していた。しかし、現実主義の市長キケロ(ジャンカルロ・エスポジート)や一族の陰謀に翻弄され、濡れ衣で逮捕される。ジュリア(ナタリー・エマニュエル)の尽力で解放されたカエサルは、再び開発に邁進。しかし人工衛星墜落や暗殺未遂など困難が続き、昏睡状態に陥ってしまう。一方、カエサルの恋人だったジャーナリスト・ワオ(オーブリー・プラザ)は、名門クラッスス一族と結託して乗っ取りを画策し、カエサルの計画を阻む。「メガロポリス」開発の行方とカエサルの運命は──。

STAFF&CAST
脚本、製作、監督:フランシス・フォード・コッポラ/協力、セカンドユニット監督:ロマン・コッポラ/出演:アダム・ドライバー、ジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、オーブリー・プラザ、シャイア・ラブーフ、ジョン・ヴォイト、ローレンス・フィッシュバーン/アメリカ/2024/138分/配給 : ハーク、松竹/© 2024 CAESAR FILM LLC ALL RIGHTS RESERVED

2025.06.17(火)
文=相澤洋美