この記事の連載

個性溢れるうつわに盛るとまったく新しい表情に

◆ベトナム・ソンベ焼きのうつわ

 さて、ガラッと感じの違うものに盛ってみましょう。ソンベ焼きと呼ばれるベトナムのうつわです。黄緑と青の模様が楽しく、チャーハンのチャーシューの茶色が明るい感じに引き立ちます。地味なおかずや料理をモノトーンのうつわに盛るのもいいですが、こんなお皿に盛ることで、明るく楽し気な印象に寄せるのもまたいいものですね。

◆小鹿田焼きのうつわ

 日本の民藝のうつわ、小鹿田焼きは飛び鉋(かんな)の技法でつけられる模様が特徴的。集中線的な感じで料理を引きしめる効果もあり、手作業による温かみが添えられるような感じもあり。ごく日常的な料理やおかずにちょっとした陰影がつくというか。民藝のうつわならではのぬくもりと、チャーハンという家庭料理の相性は良いと思います。

 チャーハンとうつわの5パターン、いかがでしたでしょうか。個人的に、チャーハンを盛るなら浅めの鉢がおすすめです。深さがありすぎても、平たすぎてもチャーハンは食べにくいもの。すくいやすい、程よい浅さを意識しつつ、好みの色合いや風合いものを見つけてください。

白央篤司

フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
Instagram @hakuo416

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Column

うつわのある暮らし

食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。

2025.06.12(木)
文=白央篤司
撮影=平松市聖