――浅野さんから見て、ドラマの主人公の網浜さんはどんな人物でしょう。

浅野 サバサバ……というか、どちらかというとガサツですよね(笑)。でも、それを見事にキュートに演じているのが丸山礼ちゃんなんですよ。大きいお目目がキョロキョロ動いて、怒られそうなセリフや芝居をしているのに、それがあまりに可愛くて。礼ちゃんはカメラが回ってない時も一生懸命で素敵なんです。

――それはどんなところから感じたのですか。

浅野 俳優は年齢やキャリアを重ねてくるとだんだん、リハーサルではまだまだ控えめにして、本番に向けて少しずつテンションを上げていく。でも彼女はテストから一生懸命なんです。心配になっちゃう時もありましたが、礼ちゃんのプロ根性に刺激ももらいました。

――「サバサバとガサツ」は、どんなところが違うと思われますか?

浅野 サバサバはさっぱりしてて同性に支持されそうですけど、ガサツは人に不快感を与えるのでは?(笑)。

「アイドルの男の子と対談したりすると、カミソリ入りのファンレターが届いたり…」

――浅野さんはサッパリした印象で女性のファンも多いですが、『抱きしめたい!』(フジテレビ/1988年)などでは、ウェットな恋多き女性・夏子を演じていましたよね。プライベートの浅野さんご自身はどちらが近いんでしょう。

浅野 私は色々なことをすぐ忘れちゃう性格で、根には持たない方なので、そういう意味ではさっぱりしているのでは?と思います。でも演じるうえでは逆に、『抱きしめたい!』の夏子のような、男性の前で親友の悪口を言ってみたり親友の好きな人をとってしまうような、女性に一番嫌われるタイプを演じるのが楽しくて大好きなんですよ。『大奥』(フジテレビ/2024年)のこわい総取締瀧山もしかり。今回も礼ちゃんとのバトルは楽しかった(笑)。

――たしかに「友達になれなさそうな女性」の役も多いですよね。

浅野 私は歌手としてデビューした当時、女性のアンチファンがすごく多かったんです。アイドルの男の子と対談したりすると、カミソリ入りのファンレターが届いたりしていました。まぁ、仕事だからって説明してもしょうがないし、割り切っていました。

――俳優さんの好き嫌いは役の印象に大きく左右されますよね。

浅野 そんな経験もあり、同性に嫌われる女性のタイプというのがわかっていた部分もあり、逆に嫌なキャラクターの役はデフォルメして作りやすく、演じて楽しかった。

――女性のファンが増えたのはいつ頃からですか?

浅野 トレンディドラマに出演させていただいたら突然! 180度逆転して今度は女性のファンしかいなくなっちゃったんです(笑)。私自身は特別何か変わったわけでもないのに、不思議な、面白い現象、世界だなぁと思いました。

2025.05.10(土)
文=田幸和歌子