俳優の杏が先月末、自身のYouTubeチャンネルで、ドラマ撮影のためフィンランドに3ヵ月のあいだ短期滞在すると報告した。
きょう4月14日に39歳の誕生日を迎えた杏は、2022年より日本とフランス・パリの2拠点生活を始め、3人の子供を育てながら活動を続けている。日本で仕事があるときは、子供たちは周囲の人たちに預けて帰国する場合が多いようだが、今回のフィンランド行きは2匹の愛犬を含む家族そろってとなった。

「フィンランドではやたらお腹が空く気がした」
昨年より雑誌で連載中のエッセイ「杏のパリ細うで繁盛記」の第15回(『波』2025年4月号)によれば、子供たちはフィンランドでもパリと同じく現地の学校に通わせているという。同国の学校では、給食を午前10時ぐらいから学年順に食堂でとるらしく、それが杏にはカルチャーショックだったようだ。
現地の人に「フランスや日本では給食は大体正午くらいだよ」と話したところ、逆に「ええ! 朝からそれまで何も食べないの?! お腹空かないの?」と驚かれたとか。このあと、彼女は次のように文章を続けている。
《よくよく聞いたら、フィンランドではご飯は一日に四~五回くらい食べるらしい。レストランも16時からとか17時から開いていたりするし、外食したとしても、家に帰った後、夜寝る前にもう一度サンドイッチなどを食べるんだとか。確かに、寒いと体力を消耗するのか、フィンランドではやたらお腹が空く気がした》(同上)

朝ドラの現場ではしゃもじについた米粒をポリポリ
もっとも、彼女の場合、お腹が空きやすいのはフィンランドに来たからそうなったというわけでもなさそうだ。何しろ、日本にいる頃から食べることが好きだと公言し、20代前半には女性誌で、食べる姿がかわいい女子=“たべカワ女子”の代表に選ばれたこともある。そのイメージは、2013年度後期のNHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で、大の食いしん坊であるヒロイン・め以子を演じたことで決定的となった。
このドラマの脚本を手がけた森下佳子(現在、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の脚本を執筆)は、収録中のスタジオで杏が撮影のあいま、小道具であるしゃもじについた米粒を剥がしてポリポリ食べているのを見て、驚きつつも「あぁ、ここにいるのはめ以子である」と感動したという(杏『杏の気分ほろほろ』朝日文庫版「解説」)。

2025.04.17(木)
文=近藤正高