子宮口が硬く1cmしか開かず

 こんな痛みが続いているのに、子宮口はまだ1cmしか開いていませんでした。

 どうやら聞いた話によると、年を重ねると子宮口が硬くなる人が多いんだとか。そのため、高齢妊婦は難産になることが多いようです。私も例に漏れず、子宮口が硬いタイプだと判明。

 ただ陣痛はかなり来ているということで夜7時頃、分娩室に移動することに。無痛分娩の準備のため、腰から麻酔を入れてもらうと陣痛の痛みは徐々におさまっていきました。

 ホッとしたのも束の間、今度は先生の内診。これがもう、のけぞるほど痛い。硬い子宮口をどうにか開かせるため、力を込めてグリグリと……。まるで子宮を引きちぎられるような痛みでした。これを2時間に1回くらいの頻度で繰り返しました。

陣痛に耐えながら描いた24枚の絵

 数時間が経った頃、麻酔を最初に入れてラクにはなったものの、それと共に陣痛の感覚がよくわからなくなってきてしまいました。

「これだとお産が進まないので、麻酔を中断しましょう」

 ということになり、再びぶりかえす痛み……。お産が進んだらまた麻酔を入れ、また陣痛が遠のいては中断し激痛再開。これを何度も繰り返し、もうこの時点で満身創痍になっていました。

「体力も限界でしょう。少し休みましょう」

 先生のこの一声で、一旦睡眠を取ることになりました。おそらく深夜0時に差し掛かる時間だったのかなと思います。

 そのとき私は、視聴者さんにプレゼントする予定だった「赤富士」のことを思い出しました。陣痛中の妊婦が描いた赤い富士山の絵には子宝のご利益があるということで、妊活を頑張っている視聴者さんのために必ず描こうと決めていたのです。

 あらかじめ看護師さんにも伝えてあったため、

「仮眠から覚めたら本格的に分娩に入りますので、描くなら今のうちです」

 と教えていただき、陣痛に耐えながら、用意していた色紙に分娩台で24枚ほど描くことができました。描き上げられたことにひと安心した私は、硬い分娩台の上でタオルケットをかけられ、気を失うように眠りにつきました。

45歳で初めて出産、1.5Lの出血も…高齢出産を経験したあいり(48)が語る、産後に夫から届いたメッセージ「信じられない…」〉へ続く

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2025.05.05(月)
文=あいり