40歳からYouTube活動を始め、今では登録者70万人を超える人気YouTuberのあいりさん(48)。その裏で長年、不妊治療と向き合い、5年間の治療、2度の流産を経て、44歳で妊娠。45歳で初めて母になった。
そんな彼女が、心がボロボロだった不妊治療の日々、妊娠中のさまざまなトラブルや理想とはかけ離れた出産、産後の体の変化などを包み隠さず語った『45歳で初めてママになりました。私の不妊治療・妊娠・出産のすべて』(扶桑社)を上梓。一部抜粋して、高齢出産のリアルを紹介します。(全2回の1回目/続きを読む)
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33時間におよぶ孤独な戦いが始まる......
予定日が近づくとお腹で膀胱が圧迫されて、夜明け前にトイレに起きる日が増えました。ある日、早朝4時頃のトイレでのこと。
「ポタポタッ」
生ぬるいなにかが垂れる感覚が。
「やだ! もしかして尿モレ……?」
焦ったけれど、何かが違う。拭いても拭いても、再びポタポタと垂れてきます。
「もしかして、破水……?」
そう思い、慌てて大学病院に電話をしました。
それと同時に、もしかしたらしばらく動画を上げられないかもと思い、寝起きのボロボロの状態で「破水しました」という報告シーンを撮影する冷静さもありました。

病院に電話を入れると今すぐ来るように言われました。
「もうすぐ会える!」と嬉しい反面、どうなるのかな、大丈夫かな、と不安な気持ちも入り混じりながら、用意してあった入院バッグを持ち、コクーン(夫)と車に乗り込みました。
本格的な痛みも来ていなかったので「これが陣痛なのかなぁ?」「意外と大丈夫かも!」なんて余裕をかましながら病院に向かいました。
コロナで面会は厳しく制限
病院に到着。待ち受けていた看護師さんからすぐさま「荷物をもらいます」「旦那さんは診察室には入れません! ご自宅でお待ちください」と言われ、思いがけず一瞬にして離れ離れにされてしまいました。この頃はコロナ禍真っ只中。ほとんどの病院では、面会や出産の立ち会いが厳しく制限されていたのです。
「……連絡するね!」
「うん、うん」
言葉を交わす暇もないくらい一瞬の別れ。コクーンは戸惑ったような表情で、うなずきながら励ましを送ってくれているようでした。
2025.05.05(月)
文=あいり