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 2025年3月12日、画業25周年を記念したファンミーティング形式のパーティーを自ら企画し、ファンサービスを行った漫画家の東村アキコさん。会場となった東京・千代田区の帝国ホテルには、全国からかけつけた161名のファンと歴代担当編集者が一堂に介し、25年の軌跡を振り返りました。笑いあり、涙あり、大ヒット公開中の自伝的作品『かくかくしかじか』の裏話ありのパーティーの様子を独占公開!(前篇を読む


読んでくれる人がいるから25年描いてこられた

 東村アキコさん自ら企画し、ファンが喜ぶ演出を1年かけて練り上げた画業25周年記念パーティーの舞台は帝国ホテル。「ファンのみなさんがおしゃれをして集まれて、特別な体験になれば」と、名門ホテルでの開催を決めました。

 その願い通りパーティー会場は華やいだ雰囲気で、着物好きのアキコ先生の影響もあり、着物姿のファンも目立ちました。

 開演の18:30になると、開会を告げるオープニング映像がスクリーンに映し出されます。デビュー作から最新作『まるさんかくしかく』まで15作品の名場面をまとめた約2分半のショートムービーに、さっそく涙腺が緩む人続出。(※リンク先の動画はオープニング映像をもとに後日新たに編集されたものです)

 映像が終わり、盛大な拍手が沸き起こるなか、アキコ先生が壇上に登場。

「毎週毎週いくつもの締め切りをこなして来たら、気が付けば25年が過ぎていました。でも、私ひとりのやる気や気合いではどうしても乗り切れない部分が漫画の世界にはあって、そんな時、やっぱり読んでくれる人がいないと描くモチベーションを維持できないんですね、漫画家って。だから今日は、“作品を読んでくださっているファンの方に来てほしい”というのがまずあって、ファンミーティング形式のパーティーを自ら企画しました」

 開会の挨拶に続き、アキコ先生がスペシャルゲストを壇上に招き入れると、会場にどよめきと歓声が巻き起こります。気になるその人物とは、育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』に登場する愛息“ごっちゃん”! 連載当時4歳だったごっちゃんも今年20歳になり、この日は留学先の韓国からお祝いのために一時帰国。

「いつも母を支えてくださる皆さんに会えるということで、今日を楽しみにしていました。お越しいただき本当にありがとうございます。これからも母をよろしくお願いします」という挨拶に、「あのごっちゃんが……素敵に育ってる……!」と目頭をおさえるファンも。

 続いて、アキコ先生の故郷・宮崎から駆け付けた、宮崎市制100周年を記念してアキコ先生がデザインしたキャラクター「みやねこ」が登壇。モーションが愛嬌にあふれていて、いちいちかわいい……!

 会場が温まったところで乾杯の挨拶に。音頭を取るのは、アキコ先生の初代担当編集で、元集英社・現集英社クリエイティブ常務取締役の梅岡光夫さん(U岡さん)。「私は東村アキコ第一発見者です」という言葉通り、数多の公募作品の中からアキコ先生を発掘し、デビュー作『フルーツこうもり』をプロデュースしたレジェンドです。

 事細かなエピソードや思い出話をまじえて「東村アキコ大発見物語」を会場のみんなに共有してくれた梅岡さん。6分を超えたところでアキコ先生が腕時計に目をやり、それに気づいた梅岡さんがトークを巻いて、乾杯!

 「ここにいる人たちは“私の漫画が好き”という共通項があるので、誰とでも友達になれるはず。どんどんお話ししていただいて、ファン同士の交流も楽しんでくださいね」というアキコ先生の言葉を合図に、歓談タイムに突入します。

 先生も楽しみにしていた帝国ホテルのブッフェには、豪華メニューがずらり。ファンのみなさんも口々に、「アキコ先生に出会わなかったら、帝国ホテルのパーティーでお料理をいただく機会なんてなかった」と、そのありがたみを噛み締めながら、ごちそうを堪能していました。

2025.06.21(土)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=佐藤 亘、末永裕樹