内田 苦労を苦労とは捉えない。ダルビッシュさんはそこに惹かれたんですね。
ダルビッシュ有さんは14年にTwitter(当時)で「2人で相談し、オープンに付き合っていくことにしました」と交際宣言。翌年、事実婚と男児誕生もTwitterで報告した。ふたりは16年8月16日、ダルビッシュさんの30歳の誕生日に入籍し、19年のオフシーズンにパワースポットとして知られるアリゾナ州セドナで奇岩石に囲まれて結婚式を挙げた。

夫に同行して驚いた、日米の反応の違い
ダルビッシュ ハワイで調整する主人に初めて同行したときは驚きました。主人は身長196センチなのでただでさえ目立つし、いくらサングラスと帽子で隠しても骨格でわかってしまう。ハワイに旅行で来ている何人かの日本の方たちが「あ、ダルビッシュだ」とダーッと駆け寄ってくるんです。まるでディズニーランドでミッキーを見つけたときのような騒ぎでした。
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そして撮影大会になりカメラは家族にも向けられます。中にはこっそり写真や動画を撮る人もいて、主人は長年の経験から撮られていることを肌で感じる。けっこう繊細なので、そこで一気に緊張してしまうんです。
アメリカでは街中で出会っても、「ハーイ、ユウ(有)、頑張ってね」「すごくいいシーズンだったよ」と仲間のように声をかけられます。一緒に家族がいようが、そこは見ない。興味を向ける対象はプレーヤーだけです。
内田 聖子さんも有名選手でしたから、同じような目に遭っていたのではありませんか。
ダルビッシュ そんな経験はぜんぜんありません。4回世界一になったところで、私は新聞の1面は飾れなかったですから(笑)。
でも、野球が注目されるのには、普通では考えられないような素晴らしい面があるということも知りました。例えば子どもたちが主人から手渡しでボールをもらっただけで、感動で泣きそうになっている。人をこれだけ感動させられる世界、見たことなかった。そう思ったときに、納得しました。主人が全力を出して野球ができるようにすることはとても大事なことなんだと。
2025.04.18(金)
対談構成=小峰敦子