1人じゃない、チャリティランナーが感じた繋がりと応援の力

 「ドナルド・マクドナルド・ハウス」をご存知でしょうか。

 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(DMHC®)が運営するドナルド・マクドナルド・ハウスは、重い病気の治療のために、自宅から離れた病院に入院する子どもとその家族が、安心して生活を送れるように、高度小児医療を行なう病院に隣接された滞在施設。現在、世界に約390カ所開設され、日本にも12カ所のドナルド・マクドナルド・ハウスが存在します。

 運営やハウスの設立には、マクドナルドの店頭に設置された募金箱に集まった募金や、趣旨に賛同する個人や企業・団体からの寄付などが充てられていて、その支援活動のひとつが東京マラソンのチャリティを通じたTeam DMHCの取り組みです。

 2025年3月2日(日)に行なわれた東京マラソン2025では、Team DMHCランナーとして、お揃いのピンクのTシャツを身に纏った約850人ものランナーが東京の街を駆け抜け、約400人のTeam DMHC応援団が沿道で声援を送りました。

 俳優の高田夏帆さんもTeam DMHCランナーとして、今回3回目の出走を決めました。

 前回は足の裏にできた水ぶくれと戦いながらも、5時間30分の目標タイムを大きく上回る、5時間14分でフィニッシュ。今回は4時間台でのフィニッシュを目指しました。

「今回は3回目ということもあって、よりTeam DMHCの一員になった自覚があります。本来、マラソンは孤独なスポーツですが、チャリティランナーは、みんなの思いが1つで繋がっているからこそ頑張れる。それが他のマラソンとは違うところだと思います」(高田さん)

 大会前は舞台の準備などもあり、満足に練習ができなかったと話していた高田さんですが、4時間59分04秒でフィニッシュをし、目標を達成。

 ともにTeam DMHCランナーとして参加した元サッカー選手の北澤豪さんも「途中ですれ違ったのですが、『4時間台でフィニッシュできそうです!』って大喜びしていて。本当に根性があるし、アスリートマインドを持っています」と絶賛。

「お揃いのTシャツを着ていると、同じTeam DMHCだとすぐに分かるので『頑張りましょう! 楽しみましょうね!』と話ができるのがうれしいですよね。特に今年は昨年話した人とコース上で再会して盛り上がりましたし、どんどんDMHCファミリーが広がっているのを感じました」

 コースで初めて出会った人だけれど、名前も出身地も知らないけれど、お揃いのウエアに身を包んでいれば、同じ志を持った仲間だと分かる。1人で走っているのに、多くの人との繋がりを感じられるのがチャリティランの魅力です。

 お揃いの黄色いブルゾンを身に纏った応援団もTeam DMHCの立派なメンバー。まもなくやってくる仲間の位置をスマホアプリで確認して、名前を呼びながら「楽しんで!」と声援を送り、名前を呼ばれたランナーは笑顔でハイタッチをして走り抜けていきます。

 今回、Team DMHCには、ドナルド・マクドナルド・ハウスを利用した経験のある人もランナーとして参加しました。

 若山光輝さんは、娘さんが生体肝移植のため長期入院が必要となり、ドナルド・マクドナルド・ハウスを利用しました。

「(ハウスでは)移植を受けた経験がある方から手術の様子を聞いたり、みんながお互いに励まし合ったりしながら過ごす姿が印象的でした。スタッフの方も笑顔でおかえりと言ってくださって、私たち家族は本当にハウスに助けられました。だからこそ東京マラソンで1人でも多くの方に、素晴らしい施設があることを知ってほしい」と初マラソンに挑むことを決意。

 若山さんの目標は完走。スタート地点ではどこか不安気な表情でしたが、走り始めると一転。沿道から声援を送るTeam DMHC応援団の人たちに、満面の笑顔で大きく手を振る姿は、初マラソンとは思えないほど。

「本当にきつかったんですけど、Team DMHC応援団の方が応援してくれるポイントが近づくと、この人たちの前だけでも走らなきゃと思って。で、ちょっと頑張って走ると、そこからは行けるところまで行こうと、自然と走れるようになって。応援ってこんなにすごいんだ、人から応援されることってこんなに素敵なことなんだと身に沁みて感じました。僕の娘は辛い治療にも弱音を吐かず、最後まで闘いました。今も病気と闘う子どもたちは、多分このマラソンよりももっときつい治療をしていると思うんです。そういう子どもたちのことを考えると、足が動く以上頑張って進もうという気持ちを強くしてくれました。これからも色々な形で支援をしていきたいと思っています」

 そう言って、ゴール後に若山さんがポケットから取り出して見せてくれたのは、亡き娘さんの写真でした。

「ずっと一緒に走ってきて、足が動かなくなると力を貸してくれ、最後はもうちょっとだよ、一緒にゴールするよって、ずっと話しかけていました。娘と一緒に42.195kmを走ることができました」と話す若山さんの隣で涙を堪えていたのは、息子さんとハウスを利用した経験を持つ佐藤奈津さんです。

 昨年は応援団としてTeam DMHCに参加しましたが、今回はTeam DMHCランナーとして6年ぶりにフルマラソンを走りました。

「マラソンはきついけれど、子どもたちはもっと大変な状況が毎日続いています。そんな頑張っている子どもたちがいるからこそ、私も走ることで何かを伝えたいと思って走りました。久々にマラソンを走りましたが、応援の力がなければ完走できなかったと思いますし、1人じゃないと勇気づけられました。今、病気で闘っている子どもも、そのご家族もきっと1人じゃないと思います。どんなことでも頑張れば、乗り越えられると思うので、みんなで少しでも支え合える社会になるといいなと思っています」と、時に涙を流しながら、語ってくれました。

 声を詰まらせながら話す2人の姿に、涙を浮かべるスタッフ、そして健闘を讃え合う温かな笑顔。病気と闘う子どもたちとその家族、沿道で応援するメンバー、一緒に走ったランナー。多くの人たちの思いを背負って走り切った42.195kmは、ただ走るだけでは得られない達成感と支援の輪の広がりを教えてくれました。

「3回目にして、続けていくことで、どんどん支援の輪が大きくなるのだと感じました。だからこそ今後も私の体が続く限り、チャリティランナーとして参加したいと決意を新たにしています」(高田さん)

東京マラソンチャリティとは?

東京マラソンを通してチャリティ活動の輪を広げる取り組みのことで、寄付を行なうことで参加できる。寄付先が設定する金額以上を寄付して希望すれば、チャリティ活動をアビールするチャリティランナーとして東京マラソンに参加可能。※1

※1 寄付金の他、東京マラソンヘの参加料がかかります。参加資格に条件がありますので、各要項及び規約をご確認ください。


ドナルド・マクドナルド・ハウスとは?

病気と向き合う子どもとその家族のための滞在施設で、1974年にフィラデルフィアに誕生し、2025年3月時点、日本には12カ所存在する。※2
自宅から遠く踏れた病院に入院する子どもと家族のための“第二のわが家”をコンセプトに、高度小児医療を行なう病院に隣接して設置され、1人1日1,000円で利用できる。ハウスは建設から運営まで、マクドナルドの店頭募金をはじめとする企業や個人からの寄付・募金、そして地域のポランティアの方々の温かい支援によって支えられている。

※2 「ドナルド・マクドナルド・ハウスJは、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営。

日本マクドナルド

https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/local/dmhcj/

マクドナルドは、東京マラソン2025のチャリティバートナーです

ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン

https://www.dmhcj.or.jp/

CREA&Number Web制作オリジナル動画公開中!

2025.03.31(月)
文=林田順子
写真=杉山拓也