ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
昭和の大阪がある。人の失敗、痛み、苦しみをも「なにしてんねん、あほか」と言いながら、人情がじわじわしみてきて、涙をさそう。本心は心の奥に秘められていることがある。素直に心を現せない人にも最後には包みこむ温かさがある。恋愛も仕事も何もうまくいかなかった、夢を叶えることができなかった。でもその時必死で生きてきたことは残っている。大阪の彩りとともに輝いている。大阪が舞台の歌、大阪の芸人の漫才が心と体にしみついて、自分はこの小説の中にずっといるようだ。

TSUTAYA BOOKSTOREそよら成田ニュータウン 真田恵一さん
現代的な浪花節というべきなのでしょうか。
「温かい物と甘い物は、いつでも困っている者すべての味方だ。」正解!

未来屋書店大日店 石坂華月さん
どんな人でも見えているものは、ごく一部でしかない。
隠れている部分にどれだけの想いがあるのだろうか。
誰でも心に多少の重荷を抱えて生きているもの。
栄光と奈落、後悔、泣きたくても泣かれない想いに、打ち明けられない想いも。
人の目なんか気にせず好きに生きたらよいのに、それも簡単にはいかない。人というものはどうしようもなく複雑で不器用だ。
遠田潤子さんの描く物語は、どうしてこうも心を捉えて離さないのか。大好きなんやー。
今年も春がやってくる。もう万感の思いです。

紀伊國屋書店久留米店 池尻真由美さん
登場人物たちが不器用で、人間味に溢れていて、実在しているかのように錯覚してしまう。ミナミの街に生きる人々の人生の悲喜こもごもが、鮮やかに描き出されていた。 
生きていくことは容易くない。思い通りにはいかないし、誰もが苦悩や葛藤を抱えている。泣き笑いの人生を、必死にもがいて生きていく力強さを、ひしひしと感じた。
物語の最後に見た光景に熱い気持ちが込み上げ、涙がこぼれた。
読んでいる間、切なくて愛しくて、ずっと鼻の奥がツンとしていた。どうしようもない苦しみの中にあっても、人生捨てたもんじゃない、ささやかな光があるのだと。
あたたかなあかりが心に灯る物語に、胸がいっぱいになった。 

未来屋書店加西北条店 尹悠子さん
今読み終えて、泣いて、笑って、心がぽかぽかしています。
関西人としては、馴染みの大阪弁と大阪の風景に、登場人物たちへの親近感も一層でした。
人生はままならないことばかりで、人間は完璧じゃないからこそ愛おしい。いつか笑いあえる日がくればいい。
チョーコ姐さんもハナコ姐さんもかっこいい!
物語のラストがまさに「今」というところが、明日へとつながる感じがしていいですね。

ミナミの春

定価 1,980円(税込)
文藝春秋
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2025.04.15(火)