
1996年にグルメバーガーブームが到来して以来、ファストフードチェーンとは一線を画した本格的なバーガーを提供する店が次々と登場し、その人気はいまだ衰える気配がありません。
特に、50年代アメリカのレトロな雰囲気を持つアメリカンダイナーは、フォトジェニックな空間でバーガーが楽しめるとあって、大きな注目を集めています。実際、Instagramでは15万件以上のユーザーが「#アメリカンダイナー」で投稿をしており、「映画のワンシーンのよう」と興奮気味に料理や店内の写真を共有しています。単に美味しいバーガーを食べるだけでなく、まるで海外旅行に来たかのような世界観に浸れるアメリカンダイナーは、今まさに訪れてみる価値ありのスポットです。
そこで今回は、そんなアメリカンダイナーの中でもファンが「ここは外せない!」とイチオシする、神奈川県横浜市にある名店「PENNY’S DINER」を訪問。魅力的なインテリアの秘密、そしてお店自慢の絶品料理をご紹介していきます。
アメリカで培ったバーガー愛&父と紡ぐ魅力のインテリア

みなとみらい線の日本大通り駅から徒歩3分。横浜・大さん橋のすぐ手前、海風が吹き抜ける場所にあるのが、赤と緑に光る看板が目を惹く「PENNY'S DINER」です。
店名の両隣には「コカ・コーラ」のサインが貼られているのも印象的で、後で解説しますが、このコカ・コーラとの繋がりもこの店の魅力のひとつ。また、大きなガラス窓には、今や珍しいネオンサインが何個も掲げられており、レトロアメリカンな情緒が訪れる者の心をワクワクと盛り上げてくれます。
同店のオーナーを務めるのは、強面のハンバーガーマスター・湯浅直人さん。途切れることなくやってくる来客対応の合間を縫って、創業までのストーリーや店内インテリアの秘密を聞いてみました。

「以前はパンケーキで有名なオーストラリア・シドニー発のダイニング『bills』、その後は原宿にあるBBQハウスの『SMOKEHOUSE』に勤めていましたが、前からハンバーガーをメインにやりたいという想いがあって、地元だった横浜で2016年にここをオープンしました。家族の影響で学生時代にヒッチハイクでアメリカ一周をした経験があり、そこで知った味を日本でも食べて欲しかったんです」(湯浅直人さん、以下同)

アメリカへの関心を湯浅さんに与えたというご家族のお話を聞くと、驚きの秘密が返ってきました。
「実は父が『ペニージャパン』というコカ・コーラのライセンス商品などを製作・製造している会社の創業者で、その影響ですね。店内の家具やインテリアも父の会社の品物なので、結構レアなものが揃っていますよ。飾っているコーラの瓶には100年以上前に流通している物もあるので、たまにマニアの方がそれ目当てで来ることもあります。でも、店内目当てのワンドリンクでの来店はお断りしていますので、来たらちゃんと何か食べていってほしいです。ごはん、美味しいですよ」
2025.03.25(火)
文=むくろ幽介
写真=志水 隆