7つの有人島と約60の無人島からなる上五島

 青方港に到着。早いうちに寝たおかげで寝覚めがよい。しかし下船すると冷たい北西風が。冬の五島の洗礼を受ける。

 今回の旅の期間中は常に6~15mの強風予報。まともに釣りができる天候ではない……。渡島の前週から天気をみていると風が収まる日のほうが少ない印象だったが、これが島の日常なのだろうか。まずはレンタカーに乗り込み、まだ薄暗い島を回ることにした。

 上五島(新上五島町)は無人島を含めると70近くの島々から形成され、中通島と若松島の間はまるでシダ植物のような羽状複葉状に入り組んだリアス式海岸が広がる。水深は30mにも達し、群青の美しい海と荒々しい岩肌のコントラストに魅了される。

島の最も入り組んだ海岸線に位置する宿

 目的地の民宿もリアス式海岸に面した入り江に位置する。青方港から中通島を縦断する国道384号線を南下し大浦交差点を右折。ひたすら直進すると港へ抜ける。

 山に囲まれているおかげで先ほどまでの北西風が遮られていた。さらにリアス式海岸全景の勇ましさとは裏腹に、入り江は波もなく、とても穏やかだ。かずおばんの家は港の最奥にあるらしいので、早速向かってみると、離島らしい情緒にあふれる看板ですぐにわかった。

 あらかじめ連絡していた時間に訪ねると、女将さんが出迎えてくれた。案内された部屋は一般的な民宿とは違うごく普通の居間。コタツにテレビ、家族写真などが飾られ、まるで祖母宅に帰省したかのような懐かしさを覚える。

 食事も居間でとり、食後はくつろぐことができるそうだ。こういった距離感も島ならではなのかもしれない。コーヒーをいただいた後は釣りができる小屋へ案内してもらった。

2025.03.14(金)
文=ぬこまた釣査団(大西)