
仕事のストレスから開放し、心と身体をリセットする時間は大切。自宅でのんびり過ごすのももちろんいいけれど、たとえば自然やアートに触れ、感性を刺激する旅に出かけてみるのはいかが?
神奈川県・小田原市にある「小田原文化財団 江之浦測候所」は、伝統技術と現代アートが融合する総合芸術の舞台。美しい自然に囲まれたその場所は、訪れた人の心を健やかに、豊かにしてくれる。都内からもアクセスしやすく、休日にふらっと訪れるには絶好の場所です。
今回は劇作家・升味加耀(ますみ・かよ)さんの創作のインスピレーションを探る旅に同行しながら、「小田原文化財団 江之浦測候所」の魅力について紹介します。
計算された建築美から季節の移ろいを感じ取る

現代美術作家である杉本博司氏によって設計された江之浦測候所。
背後には箱根の外輪山がそびえ、目の前には相模湾が真っ青に広がる。そんな豊かな自然を望みながら、ここでは日本のさまざまな時代の建築様式や工法を再現した建築群を楽しむことができます。

江之浦測候所の特筆すべき特徴は、冬至、春分、夏至、秋分それぞれの日の出の軸線に合わせて各建築が配置されていること。
古代の人々は天空を測候し、季節の移ろいを意識することで、文化や芸術を発展させてきた。江之浦測候所は、そんなアートの起源を見つめ直し、日本の建築史を通観することができる場所なのです。


一方、劇作家として多忙な毎日を送っている升味さん。忙しい合間を縫っては美術館や博物館を訪れ、心身をリフレッシュし、自身の創作活動の糧にしているそう。
「丹精を込めて作り上げられた作品や何世紀もかけて残されてきた風景と向き合うひとときは、心の安らぎや創作意欲につながる大切な時間です」

2025.02.18(火)
文=平野美紀子
写真=宇壽山貴久子
ヘアメイク=宮本佳和
スタイリスト=渡邊 薫