神奈川県の葉山にオープンした「The Bath and Bed HAYAMA 」。築100年を超える民家の「蔵」を改装した、お風呂とベッドにこだわりぬいたこの宿泊施設では、地元のお料理をケータリングして楽しむことも可能。話題の1日1組限定のステイ先をご紹介します。
気の合う仲間と一緒にまったり過ごすのに最適な「蔵泊」
広々した砂浜が広がる森戸海岸へは歩いて3分、葉山の海岸通りで築100年にはなるという蔵を1日限定1組限定の貸し切り宿にした「The Bath and Bed HAYAMA(以下BBH)」。
白い壁の蔵の中を占めるのは、その名前の通り「Bath 風呂」と「Bed ベッド」。しかし、そのシンプルさは、忘れていた時間の過ごし方を思い出させてくれました。
JR逗子駅または京急逗子・葉山駅からバスで約12分、元町バス停から歩いて約3分の海岸通りにあるBBH。2台停められる駐車場の奥に、丸太を積んだ塀と緑に囲まれた蔵があります。
建物は土蔵そのもの。キーボックスの鍵で木戸を開けると、1階はリビングルームとバスルームのみで構成されています。バスルームのジャグジーは数人で入れる大きさ。お気に入りの入浴剤を持参してゆったりバスタイムを。
リビングルームにかかる印象的な象の絵は、横須賀在住のアーティスト田中健太郎氏によるもので「大昔、葉山にいた白い山のような象が大火事から葉山の人たちを救い、そのあだ名‟白山”がなまって葉山になった」というおとぎ話を綴ったものだそうです。
2階のベッドルームは、クイーンサイズのベッドが並び、4人まで泊まれます。風合いに時を感じる床材は、蔵として使われていた時のものを裏返して再利用しているそう。ベッドの向かいの白壁にはプロジェクターで映画などを投影して楽しむことも。天井を飾る個性的なグリーンシャンデリアは、葉山を拠点に活動する室内装飾グループDEFI CREATION の作品です。
BBH の2階には、葉山にあるギャラリー「gallery Kasper」の選書による趣きのある本や写真集が置かれた読書スペースもあります。外から光の入る空間で、しばしページをめくってのんびりと時を過ごせます。
全体のデザインは、インテリアスタイリストの石井佳苗氏が担当。古い蔵の良さを生かしながら家具や備品にいたるまでセレクトして、居心地よくモダンな感じにまとめられています。
BBHには、冷蔵庫、ティーセット、グラス類はありますが、そのほかのキッチン設備や宿からの食事の提供はありません。そのかわりにローカルシェフたちと提携し、シェフに出張してもらい湘南エリアの食材を堪能できる「EATLO (EAT+ LOCAL)」というサービスを利用できます。
創作養生料理、海街ローカル料理、薬膳など、それぞれシェフが想いを込めて作る料理をケータリングしてもらい、BBHで味わえます。(一人当たり料金はシェフにより異なり、最低利用料金の設定があります)。
BBHを手がけたエンジョイワークスは、鎌倉を拠点に建築・不動産・まちづくりのプロデュースを行う会社。家財などを貯蔵するという元の役目を終えているけど、地域に残る“蔵”を宿泊施設として活用することで、地域自体が盛り上がる仕掛けづくりを行なっています。葉山での「泊まれる蔵」はその第一号。
現在、長野県の小布施や富山県の立山など全国5ヶ所で「Bath and Bed Team」という一棟貸しの蔵ホテルを展開しています。
バスルームとベッドルーム、そしてリビングというシンプルな造りでのひととき、食やアートなどローカルと結びつく体験など、ひと味違う過ごし方のできる「蔵泊」。日本各地で蔵に泊まって「地方を味わう」というステイをこの先の旅の選択肢に加えてみてはいかが。
The Bath & Bed Hayama
所在地 神奈川県三浦郡葉山町堀内901-1
電話 080-2117-3217
料金 一棟貸し30,000円~(税込み)
https://bathandbedhayama.com/
Bath and Bed Team
2024.10.04(金)
文・写真=小野アムスデン道子