なぜ自分が「猫の自然な姿」を撮影できるのか

――長年、地域猫を撮影してこられていますが、大切にしていることはありますか。
撮影当初は、地域猫や「桜耳」という言葉、世話をしている方の存在も知りませんでした。
撮影を続けるうちに毎日世話をしている方と出会い、何度か挨拶していくうちに、その方々はお金や時間を費やして猫の世話をしていることに気づかされました。この方たちの愛情によって猫たちは安心して暮らせていますし、人を警戒していない。そういう環境が作られているからこそ、僕は猫の自然な姿を撮影できているんです。だから自分にできることとして、猫をお世話している方々にフードや治療の費用を、微力ながらサポートしていて、この先も続けていこうと思っています。
猫を撮り始めたころも、猫と自分で9対1くらいの利益配分でやっていけたらいいなぁと、ふんわり思っていたんですけどね。
――猫が9で沖さんが1ですか?
そうです、そうです。そんなふうに生きられたら平和だよな、と。でも実際は、自分の生活で首が回らない時期がけっこう長かったんですね。
少しずつ写真集を買ってもらえて、メディアに注目してもらえて、企業とコラボができるようになって、ようやく猫やお世話をしている方々に還元できるようになってきた。
そういう意味でも、続けてこられてよかったなと思います。
――猫たちのためにも、写真展が盛りあがるといいですね。あらためて、見どころを教えてください。
会場でも販売する写真集をデザインしてくださったアートディレクターの山下リサさんが、空間もディレクションしているのですが、僕の意見はほぼ無視で突っ走ってくださって(笑)、非常に遊び心のある展示になっています。
シンプルに見せるゾーンもあれば、切り抜きの猫を散りばめたり、猫と撮影できたり、ギミックがあちこちにあるので、楽しんでもらえるとうれしいです!
沖 昌之(おき・まさゆき)
猫写真家。1978年、兵庫県神戸市生まれ。東京のアパレルに勤務していた2014年、猫の撮影を開始。2015年に猫写真家として独立。写真集に『必死すぎるネコ』『明日はきっとうまくいく』など。シリーズ3作で累計8万部突破。
Instagram @okirakuoki
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フジフイルム スクエア 企画写真展 沖 昌之写真展「これネコ それネコ?」
2025年2月21日(金)~3月6日(木)
会場 フジフイルム スクエア内、富士フイルムフォトサロン 東京 スペース2
開館時間 10:00~19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
会期中無休、入場料無料
本展の関連書籍『これネコ それネコ?』(インプレス刊)を会場で販売予定
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250221_02.html
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これネコ それネコ?
定価 1,760円(税込)
インプレス
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2025.02.20(木)
文=熊坂麻美
撮影=山元茂樹
写真=沖 昌之