猫3匹の奇跡のショットが! 「“なんで”が渋滞してもはや意味不明です」

――星マーク込みで狙っていたのですね。沖さんの写真は、想像をかきたてられるものが多いです。

 猫の表情や動きの面白さ、猫同士の関係性を見せるだけだと、どうしても限界があるというか、結局「やっぱり猫ってかわいいよね」で終わってしまうんですよね。

 でも星が入ることで、一気に世界が広がります。見る人がいろいろ補完して楽しめるのが写真の良さのひとつだと思うので、僕の写真から、ああでもない、こうでもないと想像したり、会話して面白がってもらえたらうれしいです。

――こちらの写真も、いったいどう撮ったのかすごく気になります。

 これは、猫をお世話している人との共同作品のような感じですね。ある猫島でアルバイトをしている男性の宿泊場所に、僕も泊まらせていただいていたんですが、その方がこの3匹の子猫たちを世話していたんです。僕は普段、外の猫しか撮らないけど、なんだか風情のあるふすまだし、少し開けると猫が顔を出すし、撮ってみようかなと。

 でも、舌で音を出したり、紐で呼んでみたり、いろいろやったけど、1匹しか顔を出さない。全然無理やなと思ったとき、お世話している人が近くを通ったら2匹顔を見せたんです。イケるかもと思い、僕の後ろで彼に紐を動かしてもらいながら、スロットを打つような気持ちで粘っていたら(笑)、ピョコピョコピョコと3匹縦に並んで。「うわぁ揃った!」と、ふたりで大興奮しました。

――大当たりの一枚ですね。

 めちゃくちゃかわいいですよね? 「なんで」が渋滞して、もはや意味不明です(笑)。この写真は何十年も使い倒そうと思っています。撮ってからけっこう長くお蔵入りしていたので、早く皆さんに写真展で直接見ていただきたいです。

――今回の写真展のために、2年間撮りためていたんですよね。

 そうですね。写真展を企画してくださったフジフイルムさんのルールが「原則として未発表の写真」ということだったので、新しいものを撮り続けようとスタートしました。

 ただ、これまでいい写真が撮れたら、その日か翌日にはSNSにアップして、自分の感覚と「いいね」の数にズレがないか確認していたので、それができなくて、だいぶ手探りではありましたね。

2025.02.20(木)
文=熊坂麻美
撮影=山元茂樹
写真=沖 昌之