待ちに待った年末年始。ゆっくり自分だけの時間を過ごせるという人も多いのでは。

 今回は、そんなお休みの間だからこそ読みたい珠玉のマンガ作品5選を、「CREA夜ふかしマンガ大賞」の選考委員も務めるhontoコミック担当の荻野晶さんにセレクトしていただきました!

 壮大なミステリーからファンタジー、青春スポーツマンガまで。気になる作品があれば、hontoで購入も可能です。hontoでは、「年末年始ビッグ感謝祭」も現在実施中。お得に楽しんで。


#1『北北西に曇と往け』入江亜季/KADOKAWA

 北緯64度に位置する美しく過酷な島、アイスランドを舞台に繰り広げられる探偵活劇。両親の死後、アイスランドの祖父の家に身を寄せ、探偵業を営む17歳の御山慧はクルマや電化製品と会話できる能力を持つ。ある日、日本にいる弟・三知嵩が叔父夫婦殺しの容疑をかけられ……。

荻野さん推薦コメント

「今年の年末年始は長いお休みを利用して、旅行に行かれる方も多いのではないでしょうか。でも、忙しい、腰が重い、何もしないでだらだらしたい……そんな方にも旅行気分が味わえるマンガがあります! 圧倒的画力で描かれるアイスランドの雄大な大地、なんとも美味しそうな料理(主にお肉!)、美しく魅力的なキャラクターたち。旅行も食べるのも大好きな私にとって、何もかもが魅力的な作品です。

そしてなんと言っても緻密な作画! うっとり眺めてしまいます……。いつでも読めるように電子で持っているけれど、紙本の装丁も素敵で購入。巻数を追う毎に謎めくストーリーにも引き込まれ、次の巻が出るのを心待ちにしている一作です。

先日「漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―」(世田谷文学館にて2025年2月24日まで開催中)に行ったのをきっかけに読み直していますが(果たして何周目だろうか……)、入江先生の描く世界は美しい。読切漫画を集めた作品集「旅」もおすすめです」

#2『空挺ドラゴンズ』桑原太矩/講談社

 空飛ぶ捕龍船「クィン・ザザ号」に乗り、宙を舞う龍を狩る狩人「龍捕り」たちの旅を描くファンタジー。龍の肉を素材とした料理がレシピ付きで紹介されるなど、異世界グルメものとしても楽しめるマンガ。

荻野さん推薦コメント

「同じ旅でも、実際に行くことはできない空想の旅に連れて行ってくれるのもマンガの醍醐味のひとつです。本作は空と龍に魅せられた乗組員たちの大冒険&世界グルメ紀行! とにかく作画が素晴らしく、美しく描き込まれた絵には感動の一言。漫画を読んでいながら芸術作品を観ているような充足感があります。ジブリ好きの方には特に刺さるかもしれません。

私自身絵に惹かれ読み始めましたが、美味しそうな料理、徐々に掘り下げられるキャラクターたち、ファンタジーの中にあるリアル……読めば読むほど味わい深く、何度も読み返しています。スピード感のある展開や、あっと驚くような仕掛けが求められる昨今ですが、この世界観に浸りながら、ゆっくりと、じっくりと、楽しむ時間は何にも代えがたい、と思わせてくれる良質な作品です」

2024.12.28(土)
文=大嶋律子(Giraffe)