アミ族の文化に触れられる海岸線にある港口集落へ

 花蓮から台東に向かう海岸沿いでは、青く輝く海を眺めながら旅が楽しめます。また、この一帯はアミ族を中心に原住民族の人々が数多く暮らしており、彼らの奥深い文化に触れられます。

 海蝕地形で知られる「石梯坪」の近くにある「Makotaay(マコタアイ)生態藝術村」も、今回の芸術祭のサテライト展示場の一つです。ここはアミ族の人たちが30年のやり取りを経て国から取り戻した土地であり、2020年からアーティストによるワークショップや音楽祭などが開かれています(イベントは主に夏場に催されます)。

 ここには、結婚を機に花蓮へ移住してきたイラストレーターの黃海蒂さんの作品「嶋」などが展示されています。こちらは、遺棄された木材とヒビの入ったガラスでさまざまな形の島を作ったもの。島々が地震を経て新たな旅路に就く様子が描かれています。

 また、朱威龍さんの科学とアートを融合した作品「石海共鳴」もあります。こちらは湿地の中にあり、木に吊るされた石が沼の中で上下に動く仕掛けが設けられています。

 Makotaay生態藝術村がある石梯坪へ行くための花蓮からのバスの本数は限られており、便利ではありません。ただその分、手つかずの自然が残っている土地なので、機会があればぜひ訪れてみてください。

 日本と花蓮は、地震や台風といった天災が多いという共通項があります。彼らの作品を目にすると、きっと心が揺さぶられるはずです。力強く前を向いて生きる人々からパワーをもらえることでしょう。花蓮を訪れる機会がありましたら、これらのスポットを訪ねながら自然とアートに触れてみてはいかがでしょうか。

PALAFANG 花蓮跳浪藝術節ー星球爆裂觀測站

今回で3回目を迎える芸術祭のタイトルにある「PALAFANG」とは、花蓮に暮らすアミ族の言葉で「お客様を迎える」「訪問する」という意味。メイン会場は花蓮縣石雕博物館と花蓮美術館の2ヵ所で、そのほか海岸線や花東縱谷に8つのサテライト展示場が設けられています。開催期間は2025年1月5日(日)まで。

●花蓮縣石雕博物館

所在地 花蓮縣花蓮市文復路6號
電話番号 03-822-7121
開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜
入館料 大人20元
アクセス 台鐵花蓮駅からバスで約30分、車で約15分

●花蓮美術館

所在地 花蓮縣花蓮市文復路4號
電話番号 03-822-7121
開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜、祝日
入館料 無料
アクセス 台鐵花蓮駅からバスで約30分、車で約15分

●洄遊吧FISH BAR

所在地 花蓮縣新城郷七星街32號
電話番号 0910-443-888
営業時間 10:00~17:00(夏季は~18:00ごろ)
定休日 火、水曜
アクセス 台鐵花蓮駅から台湾好行310太魯閣線に約30分乗車し、七星潭バス停で下車。下車後、徒歩約10分。または、花蓮駅から車で約11分。

●美好花生

所在地 花蓮縣鳳林鎮中和路46-1號
電話番号 0933-528-448
営業時間 10:00~17:30
定休日 水曜
アクセス 鳳林駅から徒歩約23分、車で約4分

●Makotaay生態藝術村

所在地 花蓮縣豐濱鄉港口村石梯灣123-2號
営業時間 10:00~17:00
定休日 不定休。春秋冬は予約制。ただし、2025年1月5日(日)まで屋外展示は毎日開放。
アクセス Makotaay生態藝術村と石梯坪へは、花蓮駅から花蓮客運1140(1日8本)、1145(1日5本)に乗車。所要約2時間半。
※イベント情報などはFacebookをご参照ください。
https://www.facebook.com/MakotaayAV

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片倉真理(かたくら まり)

台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。


著書に『台湾探見 Discover Taiwan-ちょっぴりディープに台湾体験』(ウェッジ)のほか、共著に『台湾旅人地図帳』(ウェッジ)や、『食べる指さし会話帳・台湾』(情報センター出版局)、『台湾で日帰り旅 鉄道に乗って人気の街へ』(JTBパブリッシング)など。最新刊は2024年10月刊行の『&Taipei 台北、街歩きガイド。』(マガジンハウス)。雑誌『&Premium』の連載「&Taiei」(マガジンハウス)は丸6年を迎える。

2024.12.28(土)
文・撮影=片倉真理