そこで試してみていただきたいのは、自分の内部に定着している「当たり前」を排除してみることです。
電車でスマホをいじりそうになったら
たとえば電車でいつものようにスマホをいじりそうになったら、「きょうは本を読んでみよう」と気持ちを無理にでも切り替え、バッグから本を取り出すのです。
そして、(なかなか気が乗らないとしても)ページをめくって読んでみる。すると、単に「本が読める」だけではなく、「自分はスマホではなく、本を選んでいる」という事実を通じて自主性を意識できるようになります。
当たり前すぎるとはいえ、それはとても大切なことでもあります。「自分の意思でそうしている」のだという思いは、よい意味で自尊心を刺激してくれ、しかもそれを積み重ねていけば自信にもつながっていくからです。
いいかえれば、「周囲がなにをしていようと、自分はあえて本を開く」という判断、そこに大きな意味があるということです。しかも人間は環境に慣れやすくもあるので、最初は気乗りしなかったとしても、何度か繰り返していくうちに、その行為はすぐに無理のない行動になっていきます。そこまでたどりつければ、読書はさらに身近なものになることでしょう。
もちろん、家でくつろいでいるときでも同じです。外であろうが家であろうが、スマホに誘惑されそうになったら、あえて本を手に取る習慣をつけるのです。些細なことではありますが、読書習慣を定着させたいのなら、そういったことを意識し、実践してみる価値はあると思います。
就寝前、スマホをベッドに持ち込んでしまう方も多いのではないでしょうか。いやいや、これまた人ごとではなく、私もついやってしまいます。「眠くなるまで」などと思いながら、たいして意味のないネットニュースなどを眺めているだけというケースも少なくありません。
でも、「眠くなるまで」ということであるなら、いっそスマホを脇に置いて本を読んでみてはどうでしょう。これは、私自身が「スマホを見ていたら逆に眼が冴えてしまい、結局は時間を浪費してしまった」という失敗を経てたどりついた結論でしかないのですが……。
2024.10.22(火)
著者=印南敦史