でもつらいと感じることにも、自分の好きなやり方で取り組めるといいなと思っています。好きなことはどんなやり方でもできるので、そうじゃないことを好きなやり方でできるかどうか。それがいまの私の目標です。まだまだ未熟なので難しいですけど、そこがいまいちばんもがいているところかもしれません。
自分の実力不足を痛感する瞬間
――これまでにぶつかった壁には、どんなものがありましたか?
奈緒 いろいろあるんですけど、自分の実力不足を痛感する瞬間が何度もありました。それが自分にとっては大きな壁でしたね。あとは初めてお会いする方たちと一緒にもの作りをするので、そこでのコミュニケーションとか。私はいろいろなことがわりとのんびりしているほうなので、周囲のスピードに付いていけないときもありました。
――実力不足を感じたのは、キャリアの初めのころですか?
奈緒 いや、どうだろう? 最近でもすごく落ち込むので(笑)。むしろ最初のころのほうが、なにもわかっていないからこそ強くいられたかもしれません。自分の未熟さを振りかえる余裕すらなく、新しい課題や刺激と向き合う日々に充実感を感じていたような気がします。
できることがひとつ、ふたつと増えていくなかで、できないことが可視化されていって、求められるものが多くなる分、自分の課題も増えていく。ああ、こういうことが苦手なんだなって、やればやるほど気づいていくんですよね。いまでも家に帰って頭を抱える毎日です、本当に(笑)。
大きな転機になったのは、“あの作品”?
――主人公の幼馴染役に扮したNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(2018)は、大きな転機になった作品のような気がします。ご自身にとっては?
奈緒 大きかったですね。朝ドラはたくさんの方たちが毎朝観てくださって、みなさんの日常生活に影響を及ぼすエンターテインメントだと思うんです。あのときは気づかなかったけど、それだけ多くの人が観てくださるということがどんなことなのか、責任感が芽生えるきっかけになったと思います。
2024.10.20(日)
文=門間雄介