堂場 要するに人称によって朗読した時の感じが変わる、と。一人称は、まさにずっとその人と一緒にいる感覚ですから、核心をついていると思います。

 谷山 友香だったり、二階堂の上司である乾美佳子だったりと、他のキャラクターのセリフによって物語を見る視点が切り替わることを朗読して体感しました。これは一人ですべて朗読したからこそだと思います。本当に貴重な体験でした。

 堂場 これからは朗読が小説の世界を別の次元に広げてくれるかもしれないなと注目しているんです。紙の本や電子書籍とはちょっと違う、谷山さんが話してくれたような新しい感覚が得られる点で。きっと新しい読書体験になると思います。

 谷山 みなさんにぜひ聴いていただきたいです!

堂場瞬一(どうば・しゅんいち)1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞。主な著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ、「アナザーフェイス」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズなどのほか、近著に『風の値段』(小学館)、『野心 ボーダーズ3』(集英社文庫)、『ザ・ミッション』(実業之日本社)、『ラットトラップ』(講談社文庫)、『デモクラシー』(集英社)、『鷹の惑い』(講談社)、『ロング・ロード 探偵・須賀大河』(早川書房)、『守護者の傷』(KADOKAWA)などがある。

谷山紀章(たにやま・きしょう)山口県宇部市出身。専門学校を経て賢プロダクションへ所属。代表作は「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ(四ノ宮那月)、「進撃の巨人」シリーズ(ジャン・キルシュタイン)、「文豪ストレイドッグス」シリーズ(中原中也)など多数。2005年に音楽ユニットGRANRODEOを結成。毎年全国ツアーを実施している。7月にはソロアルバム「深夜零時」をリリース、初のソロライブツアー「KISHOW LIVE TOUR 2024 『MIDNIGHT CIRCUS』」でファンを熱狂させた。趣味は読書とサイクリング、バスケ・野球観戦、お酒と多岐にわたる。

闇をわたる: 警視庁特別対策捜査官

定価 3,500円(税込)
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2024.09.22(日)
文=堂場 瞬一,谷山 紀章