谷山紀章さんが子ども時代に読んでいたもの
谷山 みなさんから、自分は読書家って言っていただけるんですが、本当にもうやめてくださいという気持ちで(笑)。僕はただ本がある空間が好きなだけで、読書家って一言も自分で言ったことないんです。周りが面白がってくださっていて、そういうふうな目で見られるようになりましたが。でもそのおかげでこのご縁があったのは嬉しいなと思います。
これまで実は警察小説は積極的には読んでいませんでしたが、話題になった『ストロベリーナイト』とか『半落ち』とかは読んでました。それと小さい頃はいわゆる推理小説をよく読んでましたね。学校の図書館に、小学生向けに読みやすく翻訳されているエラリー・クイーン、ヴァン・ダイン、コナン・ドイルなどが置いてあって、当時はそういうのを読むのが流行ってたこともあってよく借りて読んでいました。江戸川乱歩とかも。
僕はちょっと斜めに構えた子だったからか、みんながホームズを面白いって言っている時に、ダシール・ハメットの『マルタの鷹』とか、ああいうのを読んでました。小学生の頃から。
堂場 それはかなり変な子どもだと思うよ(笑)。
谷山 サム・スペードのダンディーさとか全然わからないのに(笑)。
堂場 警察小説というのは、日本では比較的新しいジャンルなんですよね。海外では昔からいっぱいありましたけど、自分が学生の頃、国内の人が書いている警察小説はあまりなかった。
谷山 今回このお仕事のご縁をいただいて、改めていまの日本の警察小説って面白いなぁと思いました。
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『闇をわたる』は、一軒のラーメン店から始めて一大企業グループを作り上げた梅島満が収集していた稀覯本と時計の盗難と、総務省審議官の長男・竹本幸樹による強盗というふたつの事件が軸となる。成り上がりの辣腕経営者と、“上級国民”といわれる官僚の息子の不祥事。関係がないと思われたふたつの事件を追う警視庁特別対策捜査官・二階堂悠真はさらなる事件に巻き込まれ――というストーリー。
2024.09.22(日)
文=堂場 瞬一,谷山 紀章