品数も豊富なので迷ってしまうが、とりあえずギョーザを2人前と蒸し鶏、ブタ天ぷらとレバニラ炒め、そして鶏唐揚げソースをお願いする。「とりあえず」というわりには多い気もするが、それはまあいい。
 
 店内には、赤いTシャツを着た男性がふたり。ひとりが厨房で調理を行い、もうひとりがフロアを担当しているようだ。B中華の店には高齢の店主も少なくないが、ふたりとも若く、どことなく似てもいる。
 
 もしかしたら兄弟なのだろうか。
 
 などと余計なことを考えていたら、まずは蒸し鶏が運ばれてきた。柔らかそうな鶏肉に、刻んだネギがたっぷりと乗せられており、見た目からして魅力的だ。

 しかもいただいてみれば、ジューシーな鶏肉にはニンニクが効いていて、ビールとの相性は抜群。これはのっけから期待以上である。
 
 続いてお目見えしたギョーザも、プリプリした皮の食感と肉の旨みが絶妙。これが200円だとは、なにかの間違いではないかとさえ思いたくなる。少なくとも個人的には、倍くらいの値段は躊躇なく出せるぞ。

 レバニラ炒めの安定感、関西を訪れたら必ず食べたくなるブタ天ぷらも申し分なし。

 鶏唐揚げソースの、油淋鶏を思わせるサッパリとした味わいも非常によい。小上がりから店内を眺め、ビールとともに味わえばもう最高の気分である。

 ちなみに、このとき時刻は16時半。昼休憩なしで通し営業されていることにも驚かされるが、あと30分もすれば夜のお客さんがたくさん入ってきそうではある。そこで、そろそろお話を伺いたいところ。

 

ご主人は沖縄出身、せわしない大阪で感じたギャップ

 趣旨をお伝えしたら、ずっと厨房にいらっしゃった店主の小波津(こはつ)良昌さんが出てきてくださった。54歳だとおっしゃるが、2代目なのだろうか。

「いや、(店自体は)もう何代も続いています。もともとは経営母体の会社があったんですけど、平成15年に会社が閉鎖になったとき、僕は店長をやってたんで、それで継ぐことになって」

2024.09.17(火)
文=印南敦史