『涙の女王』でキム・スヒョンから学んだこと
――先輩方とは、どのような感じで接しているんですか?
僕は先輩の俳優の方たちと演技をすることが大好きなんです。先輩方が何十年もかけて積み重ねてきた経験ですとか、知恵だとかを間近で見て、学んで盗むということもできますから。
どのように事前に準備をしているのかということや、こういう場面ではどのように対応しているのかということを、本当に間近で、しかもタダで見ることができるわけです。授業を受けているような気持ちでその場に居合わせることができるのは、とても有意義な時間ですね。
――さきほどは、ソン・ジュンギさんについて聞かせてもらいましたが、キム・スヒョンさんは先輩としてどのような方でしたか? かつて『サイコだけど大丈夫』で少しだけ共演されたということですが、『涙の女王』で再共演してみていかがでしたか?
みなさんがご存知の通り、キム・スヒョンさんは言うまでもなく、とても素晴らしい俳優です。いつも現場の雰囲気を明るく、楽しくしてくれる先輩なので、僕たちも一緒に演技をしていてとても楽しかったです。
ただ、先日キム・スヒョンさんが日本でファンミーティングをしたときに、共演者の方たちが写っている写真を見て、その方を当てていくというコーナーがあったんですが、ほかの共演者のことは当てていくのに、僕だけ当ててくれなかったそうで……(笑)、そのことを知って「心の距離を置こう」と思いました(笑)。
――そんな冗談を言い合える仲なんですね(笑)。キム・スヒョンさんからも学んだことはありましたか?
スヒョン兄さんは、本当にみんなをたくさん笑わせてくれて、現場をリラックスした明るいムードにしてくれました。ふざけてみたり、おかしな冗談を言って笑わせてくれることが多かったです。ドラマの主役……つまり座長が寡黙だったり、シリアスな雰囲気だと現場の雰囲気も硬くなってしまうんです。そうならないように、つとめて愉快なことを言ったり、リラックスさせてくれるように気をつかってくれたりしていたので、そんなところを学びたいなと思いました。
――ご自身もお姉さんがいらっしゃるそうですし、現場でも先輩が多くて、今までは弟のような立場のことも多かったと思うんですが、今後、後輩が増えてきたとき、どのような先輩になっていきたいですか?
僕自身もデビューしてからまだそこまで時間も経っていませんし、現場の中でも若いほうなので、自分よりも年下の役者さんと一緒に演技をするという機会があまりなかったんです。ただおっしゃるように、これからどんどん年下の俳優との共演の機会が増えてくると思うんですけれども、今はまだ、彼らとどのように接したらいいのか、イメージがわきにくいところもあります。
自分が先輩に接してもらったように、やっぱり話しやすい雰囲気作りをしたり、コミュニケーションが取りやすいと思ってもらえる先輩でいたいと思います。後輩から見て「あの人と一緒に仕事をしていると楽しいな」と思えるような、そんな先輩になりたいですね。
2024.09.15(日)
文=西森路代
撮影=三宅史郎