2012年に『棚ぼたのあなた』で俳優デビューして以来、話題作にひっぱりだこのクァク・ドンヨン。『ヴィンチェンツォ』(21年)では、巨大企業の若き会長・ハンソを、『涙の女王』(24年)では、ヒロインの弟のホン・スチョルを演じ、大いに話題となった。
そんなクァク・ドンヨンが6年ぶりに来日。インタビュー後半では、共演した先輩のソン・ジュンギやキム・スヒョンとのエピソードや、撮影現場で先輩たちから学んだことなどについて語ってもらった。
『涙の女王』の撮影現場の思い出
――『ヴィンチェンツォ』では、ソン・ジュンギさんと共演されていましたが、共演してこういう部分が凄いな、学びたいなと思ったエピソードはありましたか?
ソン・ジュンギさんは、『ヴィンチェンツォ』の主人公を演じていたので、当然、撮影するシーンがとてもたくさんあって、タイトな毎日を過ごされていました。でも、一度もセリフを間違えたり、NGを出すということがなかったんです。自分から見ても、とても責任感の強い方だなと思いました。
『涙の女王』でも、ワンシーンだけ出演されていたんですが、たとえワンシーンであっても、「この役にはどのような演技が必要なのか」「自分に求められていることは何なのか」ということを、きちんと意識されているのがわかって、とても尊敬できる方だなと思いました。
――クァク・ドンヨンさん自身は、『涙の女王』の撮影に参加した中で印象に残っていることはありますか?
『涙の女王』には、先輩方も含めて、いろんな年齢層の方が出演されていたんです。僕が演技をする上でいつも難しいなと実感するシーンがあるんですが、それは、5人、6人……もっと多くなると10人とかでしゃべるシーンなんです。
セリフが長いシーンが難しいと思われがちなんですが、実は、たくさんの人がそれぞれ短いセリフで会話するシーンがすごく難しいんですね。なぜかというと、たくさんの人で会話するシーンって、自分がどこでしゃべるかの順番がわからなくなってきたりするからなんです。
でも、お父さんやおじいさん、お兄さん役が揃っている場面で、みなさんが寸分の狂いもなく、正確なタイミングで自分のセリフを言って、しかもリアルな演技をしているのを見て、俳優として、もっと責任感を持ってやっていかないといけないな、と以前よりも更に実感しました。自分の役割について、今一度考えさせられました。
2024.09.15(日)
文=西森路代
撮影=三宅史郎