そういうなかで20代を過ごした結果、結婚にこだわらなくていい恋愛や人間関係のあり方が、自分の中に染み込んでいたというのは間違いなくあります。

ーーコムアイさんは。

コムアイ 同性婚を認めていないこととか、どちらかが名字を変えないといけないとか、今の婚姻制度がとても古いものに感じるっていうのはあります。でもぶっちゃけると、すごいシンプルで。関係が破綻しているのに、結婚していることが歯止めになっているから別れないでいる人も結構いるじゃないですか。離婚に時間がかかったり、慰謝料の取り合いになっている話も聞くし。なんか、そういうのがめちゃ怖くて。籍を入れてなかったら、もっと簡単に別れられちゃう。それって悪いことじゃないなって。

 じゃあ、なんで私たちが一緒にいるのかというと、相手のことが好きだし、一緒にいたいから。それでしか成り立たないフラジャイルさ、脆さのほうが安心感がある。お互いに信頼を築けなかったらポロッと別れちゃう、いつでも別れられる設定にしておいたほうが、甘んじずに、私は相手を大切にできるかなと思って。離婚したくないからじゃなくて、一緒にいたいから、子供を一緒に育てたいから、という理由で向き合いたいなという気持ちです。

 

「夫として」「妻だから」とは言わない、言ってほしくない

太田 人間関係って、常に動いているものじゃないですか。僕が親友だって思ってる人でも、1年前はしょっちゅう会っていたけど、最近はちょっと会えてないとか、細かい動きがある。そうやって、離れたり、近づいたりするものなんですよね。

 でも、結婚となると「はい。あなたたちは、ここから先ずっと一緒だよね」という感じになってしまう。もちろん、離婚も別居もできますけど、いつまでも一緒でないといけないって考えが強いですよね。

ーー縛られる気がする?

太田 一言で言うと、結婚してしまうことで相手との間の日々の張り合いみたいなものが自分のなかになくなってしまうような気がするんです。僕は、今この瞬間に僕の人生を全力で投資してるんで。

2024.09.13(金)
文=平田 裕介